第27話「番長と森の賢人」
オレの視界の端に見えるマークの様なもの
明らかに不自然だ、まるでゲームに出てくる
アイコンを表示する様なもの。
「・・・・・」
恐る恐る手を伸ばしてマークを押すと
《ピロリン》と音が鳴る。
ヴゥンとアイコンが目の前に拡がる。
「・・・マジか」
アイコンには文字が書いてあった。
『貴方は世界を越えてこの場所に居ます
世界の境界線に触れ続けていた為に起きてしまった事故であり他意はありません。
管理者たる私は貴方を元の世界へと帰す力はありません。
境界線のあるその場所は今、安定してしまっている為に数日は揺らぎが起こりません。
揺らぎが起こるのは早くて2日後の朝、
それまでこちらの世界に居てください。
管理者より』
「・・・管理者・・・神様の代理人・・か?」
世界が違う、確かにそうだろう。
ちらほら見かける鳥が明らかにでかくて奇抜で見たことが無いし聞いたこともないような化け鳥だ。
こちらを狙っているかのようにじっと見てくる。
咄嗟にオレは自分の能力が使えるのか確かめる。
《ピロリン》
「は?」
『この世界で初めての異能を感知しました』
《貴方は異能『ザ・ワイルド』を使用しました》
《望んだ身体能力が自由自在に強化されます》
《称号『異能者』をステイタスに表示します》
「・・・ステイタス?」
《ピロリン》
オレがそう呟くとアイコンが切り替わり
オレの名前が書かれたものが表示された。
『名前 万場 英志
種族 ハイ ヒューマン
性別 男
職業 無し
称号 番長 常識人 苦労人 守護者 来訪者
異能者 て#%"*@の友人
ギフト 異能 ザ・ワイルドLV3
スキル 自己流拳闘技術LV8
サバイバルLV6
遠泳LV5
▼』
「・・・ゲームかよ」
ため息をつきそうになるが樹の枝に留まっている化け鳥から目をそらさずにチラチラと
確認すると、オレの身体強化は個別の能力で
『ザ・ワイルド』と言うらしい。
初めて自分の能力の名前を知った
・・・何か称号の部分に突っ込みをいれたいところがあるが文字化けしている奴は何だ?
ううん?よく分からんな。
「ギャアアア!」
「チィッ!」
オレ目掛けて滑空しながら襲いかかってくる化け鳥に、ギリギリまで引き付けて迎え撃つ
(よく分からない生態だ、直接殴るのはやめとくか)
化け鳥は色合い的に毒々しい、能力を使用して鉄板にあとがつくくらいの力でかかと落としを化け鳥に食らわせた。
「オラァッ!」
「ギェッ」
ズンッ、と言う音とともに土煙が立つ、
手応えはあったが反撃に合うかもしれないのですぐに後ろへと下がる。
「・・・・・反応は無いか」
土煙がおさまって化け鳥を確認すると
頭が完全に潰れていた。
「・・・死んでるな、ふうー、こいつ、食えるのか?」
解体しようにも道具を用意しないといけないし紫色の血が流れているのを見て食用は無理だろうなと思った。
幸いにも輪道に栄養バーを大量に貰ったので2日くらいなら余裕でいけるだろう。
「問題は水か」
サバイバルにおいて水の確保は最重要だ。
塩分は栄養バーで何とかなるが飲める水の確保はなかなか難しい。
川や湧き水でもあっても水質が分からなければ腹を下したり、最悪中毒で死んでしまうだろう。
動物が飲み場にしているところなら大分安全姓が高そうだが、この化け鳥を見ると関係なく水を飲んでいそうだ。
「どうするかな」
オレは取り敢えず石を拾い、聴覚と嗅覚を強化して水場を探すことにした。
意識を集中させて耳と鼻を使う。
・・・・・よし、水音と水場の匂いを感じる
案外近くにありそうだ。
オレは樹に目印をつけながらその方向へと
足を運んだ。
「・・・・・あったが、飲めるか?」
そこには大きな湖が存在した。
周りを見渡すとちらほら動物達が水を飲んでいる。
一口だけ口に含んで変な味がしないか確かめるか。
味覚を強化してから手を洗い、水を手ですくい口に運ぶ。
「・・・・・旨い」
信じられないくらいの水の旨さに驚いた。
だが、それ以上は飲まずに時間をおく。
そうすることで体調が悪くならないかを
確かめるのだ。
そして、十数分後、得に体調には変化はなくこの湖の水は安全であることがわかった。
「・・・よし、水場の確保ができたな」
次は夜に向けての火と寝床の用意をしなければならない。
流石に地面に転がっているわけにはいかない。
地面は体温を奪うのだ、体調を崩す原因となる為に葉っぱやら草やら集めて敷くだけで
まったくと言って良い程に体調が違う。
火は、原始的な方法でやる、摩擦熱による発火だ。
枯れた木となるべく真っ直ぐな枝に木の削りかすを使用する。
松の葉があれば火がついたあとは楽になるんだが、松の葉は油分が多く含まれていて燃やすのを助けてくれるんだ。
オレは世界の境界線がある岩肌があるところまで戻っていた。
そこには化け鳥の死体があったはずなのだが
なくなっていた。
血のあとが残っていることから放って置いたら消えたと言うことではないようだ。
つまり、この近くにそれを持ち去った奴が居ると言うことだ。
周りにその気配は無い、油断はしないでおこう。
オレは地面を浅く掘り円を描くようにして
木を真ん中で組み合わせ簡易的なテントの様なものを作り上げた。
葉のついた枝を更に被せて雨を弾くようにしておく。
火もつけたし水も大きな葉っぱを編んで作ったバケツに汲んである。
栄養バーも食べたのであとは寝るだけだが
「・・・居るな」
森の中から何者かの気配がする。
動物では無い、人?か?
「・・・居るのは分かっている、敵意が無いのであればでてきやがれっ!」
言葉が通じるかは分からないが取り敢えず対話を試みる。
『・・・ウホホっ』
「うん?」
ガサゴソと森から草むらを掻き分けて出てきたのは、
「ウホ」
「は?」
・・・・ゴリラだった。
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