捻くれ者の俺が学園生活を楽しむ方法。

人間 越

プロローグ

 俺、片名瀬遊馬かたなせゆうまは自他ともに認めるひねくれ者、である。

 どこがと言われると返答に困る上に、具体例を挙げてと言われたら枚挙に暇がない割には一個一個が小粒で、どうにも説得力に欠ける。

 

 例えば、目の前の人がハンカチを落とすとする。俺がそれを拾う。落とし主がそれに気づく。普通ならば、ハンカチを返すところだろう。だがしかし俺はハンカチを返すための交換条件を思案する。そういうやつだ。


 例えば、多数決。八人中、A案とB案で六対一に割れている。どちらか意志を指名していないのは俺だけという状況。普通ならば、AでもBでも自分の意見を言って終わればいいところだ。どうせ集団の答えは変わらない。でも俺の答えは答えない、だ。どうせ変わらないのだから。そういうやつだ。


 まあ、例えばの話であるからしてこれで捻くれ者だと判断できるわけではない。しかしながら、何となくは分かったかと思う。

 理屈っぽい、めんどくさい、イタい。

 よく言われる言葉だ。そういう認識でだいたい合っている。


 俺が自称して、周りが俺を指して言う捻くれ者とは、そういうものである。

 そして、そんな自分のことを俺はとても気に入っている。

 

 

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