異世界転移した先で、イケメン国王に一目惚れされたと思ったら、錬金術師の作った惚れ薬のせいでした!!
Seika
序章~それは災難でしかない~
想像力のある人間が、SFだとかファンタジーだとか、そんなものを想像する。
だが、そんなものは、想像の範囲に過ぎず、現実には起こりえない。
小説などで、異世界転移というカテゴリーがある。
人気が衰えないものではあるが、それでも非現実的な物語。
所詮はおとぎばなし。
一般人なら、そう考えるのが当たり前。
一般人だ何だと、そうカテゴライズするのは、差別かもしれないが。
オカルトマニアな親友が居て、ファンタジー大好きな両親が居て。
そんな人物に囲まれていたおかげで…というのもなんだが…、可憐はそれなりに物語を楽しみはするが、それを本当にありえる事だと信じたりするような人間にはならなかった。
世の中には異世界があって、そこに現実世界から転移するなどと、信じた事はなかった。
信じるはずがなかった。
所詮は想像の産物なのだと、考えていたのだから。
けれど、その考えは見事に打ち砕かれた。
何故なら、可憐は今、異世界転移というものを体験してしまっているからだ。
しかも、しかもだ。
王道と言われてもおかしくない状況に陥っている。
「カレン、こんなところに居たのか」
巨大で豪華な城の、広い広い庭の片隅に居た可憐に、そう声をかけてくる、金髪碧眼の超美形な男性。
「え…ええ……、今日はとても天気が良かったので散歩をと……」
可憐はそういいながらどうにか笑いを作るが、口端がひくついてしまう。
どうしても会いたくない人物に会ってしまったからだ。
可憐がどうしても会いたくない人物である、その男性。
実はこの城の主で、可憐が今居るファンタジーな世界の一国を統べる王様。
レオン国王。
このレオン国王に、可憐は惚れられてしまっている。
それはもう熱烈な求愛をされるほどに。
とある事象が切欠で一目惚れされてしまった事が原因で。
―――ありえねぇってば!―――
可憐は心の中で叫んだ。
自分の今の状況に対して……。
*
「
たとえ、ファンタジーかぶれなオタク系両親でも、わが子のそんな未来を願う。
が……。
その願いも空しく、可憐はその名にそぐわない娘に成長した。
お転婆で元気の良い女の子に……。
服装も、パーカーにショートパンツとスニーカーといった、スポーティなものを好んで着用。
更に、ガキ大将だったくらい、可憐はその名前に託された願いを無視するはねっかえり娘であった。しかも、空手を習い、全国屈指の実力の持ち主にまでなってしまって…。
思春期を迎えてからは、幾分落ち着いてきたが。
それでも、元気のよさは有り余るくらいで。
そして、時は過ぎ…。
気が付けば、可憐は19歳。
高校を卒業して、大学に進学する事もなく、就職する事もなく、フリーターとなって日々を過ごすようになっていた。
彼氏というものの存在はナシ。
恋をすることもなかったわけではないが、性格の問題で失恋というルートへ進んでしまっている。
運良く、可愛らしい容姿で生まれてきたというのに……。
その元気のよさのせいで、女の子としては見て貰えても、女性としてはみてもらえない。
見た目が、童顔…ベビーフェイスである事も、理由の一つ。
漆黒の髪と瞳で、顔は可愛いが見た目が中学生。
それで、元気の良い性格であると、バイト先の人々や同級生からは妹的存在として認識されてしまうのだ。
可愛がられるのは嬉しいが、もう少し年相応の対応をして欲しいと可憐は思っている。
そんなこんなで、可憐は日々を過ごしていた。
緑は少なくなってゆくが、便利で暮らしやすい、住み慣れた世界で。
一生、この世界で暮らしていくのだと思っていた。
ファンタジーな世界という、そんなものは想像の産物。
異世界転移なんてありえない。
ファンタジー大好きな両親が異世界に転移したらどうしたい? などと、色々と話をしていても、いい年して何バカな妄想してんだか…と、呆れて聞き流したり。
オカルトマニアな幼馴染で親友の
非科学的すぎて、可憐には信じられないものだった。
なのに……。
してしまったのだ。
異世界転移というものを。
可憐は、異世界へと飛ばされてしまった。
そして、その先でとんでもない(珍)事件に巻き込まれてしまう事になる。
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