エイリアン&ヒューマンズ
「部屋の中ァ!とりあえず見て!宇宙人おる!宇宙人おるからッ!」
泣きじゃくり縋り付く俺。様子がおかしいと判断した詩良先輩は訝しげな表情を浮かべつつも、俺の訴えに従って俺の部屋の扉のドアノブに手をかけた。
ガチャリ。
「ん”お”ッ!お”ッ!お”ッ!お”ぼぉお”お”お”お”ッッッ!!!」
奇声が聞こえた。いや声デカすぎだろ。
扉を開けた詩良先輩はその姿勢のまま固まる。未知との遭遇を果たしてしまった詩良先輩の心境や如何に。心中お察します(経験談)
「イカくさっ」
バタンッ!
詩良先輩は力強く扉を閉めた。そうなるよね?そうなりますよね?
「真弘、アレはなにかな……?」
「全く分かりません!」
見てはいけないものを見てしまったという表情で詩良先輩は俺に問う。そんな言われても俺もまったく意味が分からないの!
2人で困惑していると階段を駆け上がってくる足音が聞こえた。見ると無表情の美希が目撃したら全力で逃げることを推奨されている徘徊型討伐不可モンスターみたいな雰囲気で現れた。おっふ。こっちも怖すぎ笑えない。
俺を見つけた美希は反射的に構えた。このまま走ってきて殴り掛かる姿勢。死ぬ!と本能が警鐘を鳴らしたが、寸前のところでそれは詩良先輩が手で制して止めてくれた。
「待ちなさい」
「邪魔立てするなら殺す」
短く物騒な言葉のやり取りをして睨み合う。美希と詩良先輩、お互いを射殺すばかりの鋭い視線と視線が交差する。息もできぬ程の緊張感ーー。
「それしゅごぃ……!しゅごいでしゅううう!!!」
部屋の中からエイリアンの鳴き声が聞こえた。だから声デカいんだって。
「「「…………」」」
地獄のような空気。詩良先輩が顎をしゃくって俺の部屋を指し示す。それに従って美希が扉を開けた。
「らめれしゅっ!そんなにしゃれたらあたまおかしくなっちゃいましゅっ!うぴゅっウッウッウッうひょぉぬぼぉほぉっ!」
こうして美希も未知との遭遇を果たした。ドアノブを手にした状態で固まっている。
「イカくさっ」
バタンッ!
美希は力強く扉を閉めた。美希はそれするの本日2回目だね。やったね(?)
「真弘、アレなに?」
「知らん。俺の予想だとエイリアンか何かだと思う」
3人揃って押し黙った。この空気どうすんだエイリアンこのヤロウ。こっちきて何とかしろ。やっぱり嘘、こっちには来んな。さっさと窓から出て
ホントにアレ誰だよ。どこのどちらさん?なんで俺の部屋に居るの?どっから入ってきたの?なんで俺のベットの上で全裸で奇声あげながら暴れてるの?意味わかんないんですけどー!
対応に困り果ててどうしたもんかと頭を抱える。悩んでいると再びドタバタ階段を登ってくる足音が聞こえた。
「真弘くん!さぁ!観念して僕に食糧おくれ!何か食べ物を出すまで僕はキミを絶対に逃がさないよ!」
波子である。ズビシッ!とコチラを指差してきた。食に対する変わらぬ想いを引っさげて俺を追ってきたようだ。勝手に家入って来たんかいワレ。不法侵入で警察突き出してやろうか。突き出されたくなかったら身体でーーは止めとこ。
「あっ、波子ちょうど良かった。ここ俺の部屋なんだけど、ちょっと扉を開けて部屋の中を見てもらっていい?」
「ふぇ……?別にいいけど……急になにかな。真弘くんの部屋に何かあるのかい?」
「いいからいいから」
ちょいちょいっと波子を手招き。まあまあと背中を押して俺の部屋の前へ連れてくる。
「ほら開けて開けて」
「……?」
わけが分からないと戸惑いながらも波子は俺の部屋の扉を開けた。
「じゅぼっ!じゅるるるっじゅるっじゅるっ!ずぞぉぉずぞっずぞっずぞぞぞぞぞぞっ!ひゅっひゅぅぅぅぅぅうううううッッッ!!!」
波子はドアノブを手にした状態で固まった。未知との遭遇おめでとう波子。これでキミも我々の仲間さ!
「イカくさっ」
バタンッ!
波子は力強く扉を閉めた。
「真弘くん……僕はなんだか見てはいけないものを見てしまった様な気がするだが。アレは一体なんなんだい?」
「俺の予想だとシコリン星から遥々地球にやって来たオナリン星人とか、なんかそんな類の地球外生命体」
そう説明して貰えたならきっと納得する。それでも到底理解は出来ないけど。
4人揃って黙ってしまう。俺の部屋の中からは変わらずエイリアンの奇声が聞こえている。
幸いと言うべきか、どうやらエイリアンは俺達の存在に気がついてない様だ。多分。いやだって4回ほど扉をバタンッバタンッさせたのにお楽しみ継続中なんだもん。気がついてて続けてるのなら相当よ?エイリアンは生殖器官を弄るのに夢中になりすぎて気がついてない。そういうことにしておく。
解決策が見いだせない。俺の明日は何処へやら。
あー、マグロ食べたーい(現実逃避)
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