第1話【初めての転生者支援】

「はっ!歩いてたら急に車が・・・そうか俺は死んだのか」

「そうですね。貴方は死にました」

俺は死んだことに動転して周りが見えていなかったが、自分以外の声が聞こえた事でやっと周りを見渡す。

ここは真っ白な空間のようだ。 しかし、そんなことはどうでもいい。俺の目はある一点から動かなかった。否、動かしたくなかったのかも知れない。 俺の目の前にいたのは、今まで見てきたどのアイドルよりも美しく神々しい女性だった。

「貴方は不運にも死んでしまったので、私シノヴィアの神格によって貴方を転生させることになりました。」

相変わらず女性から目を離すことは出来ないが、初めて過ぎるこの状況に疑問が尽きない。

「何で俺なんだ?死ぬ奴なんて他にたくさんいるだろ?それにお前は何者なんだ?」

女性の眉間が少し動いたような気がするが説明してくれた

「一つ目の質問ですが、人族程度の弱い魂では世界を渡ろうとするとほとんどの場合消滅してしまいます。ですが貴方のように転生に耐えうる強度の魂を持つ個体がいます。なので貴方は今回転生する対象に選ばれたのです。二つ目の質問ですが、私は神です。」



・・・



無事に転生者を異世界に転生させることができたので一息つく。 すると、今まで真っ白の部屋だった空間の壁に扉型の光が輝く。その後、扉が光のエフェクトを残して外の世界に通じた。

「お疲れ~初めての転生者支援どうだった~気持ち悪くなかった~」

「お疲れさまですエレノア先輩!悪魔ですら私たちに対して敬意を持っているのに、恐怖を感じるほど敬意を感じませんでしたし、それにあの目、神に対して不躾にもほどがあります」

「価値観が違うとそうなるのかもね~、転生支援業界ってそういうものだからまあ慣れるまでは怖くても我慢してね~」

「そう言うわりに先輩は神格使ってでも転生者に会いに降りて行ったらしいですね」

「え、何で知っているの~?誰に聞いたのかな~」

「部長さんが歓迎会でおっしゃっていましたけど、先輩は覚えてないですか?」

「初めての後輩で嬉しくなって飲みすぎちゃって覚えてない~。というかあの老神め~私の情事を勝手に覗き見してたってことじゃん~」

「先輩は人族嫌いじゃないんですか?」

「基本は嫌いだけど~彼は別だから~格好いいし~私のこと凄い慕ってくれるし~色んな無理難題を吹っかけてもやり遂げちゃうし~、それに~

「あっ、転生者から連絡きたみたいです。先輩はちょっと外言って下さい」


[転生者メール]

『森にいるんだけど、どうすればいいんだよ!捨てられてんじゃん!』


はあ、転生者支援の初めての仕事相手がこれとは。仕事ってつらい。まだ前の部署の方が何も考えなくて良かったから楽だった。でも仕事だし仕方ない。それに転生者の今世の業績によって神格が唯一神様から頂けるらしいし、頑張れ私!

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本日より転生支援業界に転職しました 藤宮さん @kasyumaru

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