男嫌いなツンツン女を俺のことが大好きなデレデレガールに変えるまで

砂乃一希

男嫌いの少女


恋愛とはもはや闘いである。

自分がいざ人を好きになったときライバルとの競争に打ち勝ちいかに、まさに闘いと言っても過言ではない。


突然だが私立天堂高校で一番モテるのは誰かと聞いたとき男子は悔しそうに、女子は熱っぽい瞳で大体の人はこう答える。


小泉達也こいずみたつや


と。


そしてそんな小泉達也の世代が2年生になった春頃学校を震わせる噂が広がった。


「小泉達也は学校一の男嫌いに惚れている」


◇◆◇


「みんな、おはよう」


そう言って俺──小泉達也はいつも通り教室に入る。


「おはよー」

「おは〜」

「おはよう小泉くん!」


話しかけてくれた人たちと少し雑談をして自分の席に向かう。

昨日夜遅くまで考え事をしてたから少し眠い。


「おはよう達也。眠そうだな」

「ん?ああ優か。おはよう、昨日少し考え事しててさ」


声のしたほうを振り返って見るとそこに立っていたのは小学生からずっと同じ学校で仲が良い俺の幼馴染、服部優はっとりまさるだった。

優はいわゆる陽キャイケメンで茶髪で顔も整っているし身長は178センチのモテ要素の多い男だけどチャラい。

普通にいい奴だけどな。


「あはは!一週間前からずっとそうじゃねえか。またあのことか?全然上手く行ってないもんな」


心底楽しそうに優が言ってくる。

しかも図星なのがまた面倒くさい。


「く……そうだよ。全然進展がない……」

「お、榎本さんが来たみたいだよ?」


言われた通り教室のドアの方を見るとクラスメイトの榎本綾香えのもとあやかが教室に入ってきて女子たちと談笑しているところだった。

榎本綾香は艶やかなストレートロングの黒髪で顔やスタイルもテレビに出ても遜色ない学校一の美少女だが同じく学校一の男嫌いとしても有名であり容姿目当てで告白しようとした男子たちがことごとく玉砕、しかも用事でもない限り会話すらさせてくれない。

女子に対しては明るいし優しいのに……


「ほら、榎本さんに話しかけてこなくていいのかい?」

「……わかったよ。行ってくる」


立ち上がり榎本の下へ歩いていく。


「お、おい……あいつまた行くのか?」

「小泉君ってやっぱり榎本さんのこと……」

「いいなぁ……榎本さん……」


周りのクラスメイトのヒソヒソ声を全て無視し談笑している榎本に話しかける。


「おはよう榎本さん」

「小泉さん……おはようございます」


榎本はこちらに気づくと笑いが消え少し目つきが厳しくなる。

……そんなに話しかけるなオーラ出さなくてもいいのに。


「あはは、おはよ〜小泉くん!ごめんね。綾に悪気はないんだよ〜」

「ああ、おはよう。長谷川さん」


そう言って俺に話しかけてきたのは榎本の(おそらく)親友の長谷川仁美はせがわひとみだ。

茶髪のショートカットでいつも明るく気さくで活発な雰囲気をもっているのクラス委員長。

正直榎本といつも一緒にいるから比べられがちだけど長谷川もめちゃくちゃ美人だし人当たりもいいから俺等の学年で一番モテる女子は間違いなく長谷川だろう。


「もう……仁美は余計なこと言わなくていいの。それで小泉さんは何か私に用でも?」

「同じクラスメイトなんだし用がなくても挨拶くらいしてもいいでしょ?まぁ榎本さんと話したくて話しかけたのは認めるけど」

「すみません。今から一時間目の授業の準備をしなくてはいけないので。お話はまた今度の機会に」


そう言って榎本は歩いて行ってしまう。


一時間目の準備って……ホームルームまでまだ20分はあるしさっきまで女子たちと楽しそうに喋ってたじゃねえか!

くそ……まさか本当に会話にすらならんとは……


「あまり気にしなくていいよ小泉くん。綾はいつも男子に対してはあんな感じだから。それじゃあ私も行くね」


仕方なく優が待つ自分の席に撤退する。


「……達也でもダメとはな」

「うっせ……」


やはりあれか……?

恋愛経験が皆無なのが駄目なのか?


まぁ自覚はある。

だって女子の気持ちが全然わからん!

どうするのが正解なんだ!?


俺にはどうしても榎本綾香をオトして何としても俺に惚れさせないといけない理由があるんだ。

その理由を説明するには一週間前まで時をさかのぼる必要がある。




─────────────────────

これから毎日更新していく予定です。

榎本はきっと可愛くデレてくれるだろうと思った方、小泉頑張れと思った方は☆やフォローなどよろしくお願いします。


まだまだ駆け出しなのでご意見、感想等を気軽にいただけますと幸いです。


ぜひよろしくお願いします。

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