29話 レオン・ケインとセド・レナード
「ねね」
「なんだ?」
「固有魔法にも相性があるんだよね? 水だったら草に弱いとか」
「あぁ。セドの固有魔法は砂。レオンは雷。優位としてはセドの方が上だろう。なにせよ、砂は雷を通さないからな。だが、一つ工夫すれば一挙に戦況はレオンに傾くだろうな」
アノールはそう言うと、再びセドとレオン先輩に目を向けた。すると次の瞬間レオン先輩はローブの内ポケットから丸い水が入ったガラス瓶を取り出し、それをセドに投げつけた。避けようとしたがもう遅く、右肩にガラス瓶が当たって割れ、びしょ濡れになってしまった。アノールの先程の言葉の意味を今理解し、私はセドの名前を呼んだ。
「セドッ!!」
次の瞬間、レオン先輩はにんまりと笑みを浮かべた。
「
魔法陣がセドの真上に現れ、電撃がセドに貫通した。膝をついたセドを見たルーカス部長は指を鳴らすと、結界が解けていき、私はセドに駆け寄った。
「セド!!」
「ッツ……痛ぇ」
「痛ぇって、そのほかの症状はないの!?」
「痺れるだけだ。おかげで立てない」
セドに肩を貸し、ゆっくりと立ち上がった。レオン先輩は杖を一振りセドに向かって振るうと、制服に染みた水や傷が一瞬にて消えた。
「治癒魔法と制服乾かしたぜ。手加減したつもりだが、大丈夫だったか?」
レオン先輩は申し訳なさそうに言うと『平気だ』とセドは答え、私から離れた。
「そうかよ。だが一つ先輩としてのアドバイスだ。弱点が少なくとも、油断は禁物だ。俺みたいに弱点をカバーする者や魔法を持つ者はたっぷり存在してやがる。だから、お前も魔法やら物でカバーしてみるのもありだぜ」
セドはレオン先輩からアドバイスをもらうと、なんだか難しそうな表情を見せた。
「物か……ありなのか?」
セドはアノールの顔を見て首を傾げアノールは私の顔を見ながら首を傾げた。
「私を見ないでよ……。先輩が言っている通り、魔法でもいいと思うけどね」
「そうか。課題が増えたな」
「良いことですよ。課題をこなしていけばいつかセドの夢にもたどり着くと思いますよ」
ルーカス部長はセドの右肩に手を置いた。セドは自身を持ったのか少し表情が緩んだ気がする。
「というか、レオン先輩って意外と律儀な方なんですね」
「お前、俺のことどう見えてたんだよ……。まぁいいや、ルナは変な事情をお持ちらしいからな、あとで魔法見せてみろ。案外課題が多いかもな」
レオン先輩はワインレッド色の瞳で私を見つめた。『変な事情』というのは恐らく私の正体に気づいているということなのだろうか。いつバレたと頭の中がぐるぐると回り、めまいを感じながらもレオン先輩に対抗するようにワインレッド色の瞳を捕らえていると、ユノ先輩が私たちに声をかけてきた。
「あ、あの~もうそろそろ部活の終了時間になりますけども……」
「そうですね。それでは本日の部活動を終了とします。来月また会いましょう」
ルーカス部長の挨拶を終了の合図とし、部活動は無事に終わりを告げた。
「それで、セドとルナは部活に入るのか?」
ユノ先輩とネオ先輩がいなくなった後、アノールは私たちの問いかけた。
「私は校長に入部届けだされているから半強制だよ。だから部活に入る。セドはどうするの?」
「俺もこの部活に入る。だが、候補者として認められないと部活には入れないんだよな?」
推薦を貰っていないセドは悔しそうに舌を噛んだ。すると、レオン先輩がある発言をした。
「候補者だろ? 俺が推薦してやる。それでいいだろルーカス部長よぉ?」
レオン先輩はルーカス部長に詰め寄ると、深いため息をついた。
「ふぅ……仕方ありませんね。今日からルナ・マーティンとセド・レナードはこの
「ありがとうございます!」
私とセドは
そして、次の日。私はレオン先輩とルーカス先輩に呼び出されることをまだ知らずにいたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます