僕と恋と少女
。
第1話少年と少女の出会い。
僕は、絵本を読むのが大好きだ。いつも望んで手に入らないような世界へ色とりどりな絵と共に、いつも僕を連れて行ってくれる。そんな僕が知らない幻想的な世界に僕は強い熱望をもっていたのだ。だからだろうか、僕は常にそんな僕に学校で友達と呼べるような子はいない。正しく言うといらないのだ。
けど、学校で絵本を読むでいると
「小学生にもなって、絵本読むんだー。」とからかわれてしまうので、今みたいな授業の間には、自分で絵を描いて世界を妄想する。けど、そんな幸せな時間は休憩時間だけではない。
他の生徒達が次の移動教室のために慌てて準備をしだした。
僕も、それに便乗するように用意をして、教室を出る。
まだ、セミの大合唱がまだ続く中、美術の授業が始まった。
ここでは、自分の世界をえがいて許される空間だ。ほかの子が描けねえとしている間、喜々として絵を描いている。7月最初の授業、今日は課題を提出する日だ。
私立中学校を受ける子は受験の夏だからだろうか。なぜ夏休み前に集めるのが謎だがまあいい。
先生がけだるけに「宿題の”絵になる街”を回収します。忘れた子は、授業後残るように。」という。一部の生徒の顔が青ざめる。
学校の近くには、海があるので海の景色を描いてくる子が多い。僕もその一人だ。
海は広くて清々しい、こんな学校にいるぐらいなら海にいたほうがいい。
噂をすればなんとやらだ。提出する時にわらわらと動く生徒の中でクラスで偉そうにしてる髪の長くきれいなだけが取り柄の女とその取り巻きが、僕の隣の席のボブ髪の少女1人をいびり始めた。
「ーちゃん、そんな景色どこにもないよ、おかしなのー。」
そんなことを言うと同時に周りが笑い始める。
僕は、隣でそんなことをやられるのが不快でなだめようとして隣の席の子を見た。
そのときに僕は見てしまったのだ。
広がる白い砂浜に、気持ちの良い海、幻想的な夜の海と朝焼けが、混ざっていくように溶けているグラデーション。そこにたたずむ一つのはかない灯台。自分の知らない美しい世界が広がっていた。
ああ、なんてこの子の見える世界は美しいんだと。
僕は、気が付いた時には、少女と髪長女の間に入割り込んでいた。
「そんなの関係ない」声が出ていた。
なんと気の利かない言葉だろう。もっと何かあったろうにと後悔したがもう遅い、髪長女は一瞬こそ驚いていたが反撃をくりだしてくる。
「それこそ、-クンが私たちの会話に関係ないじゃん。」
クラスメイトたちもそっと眺め始める。取り巻きはにやにや便乗して
「そうよ。そうよ。」と言っている。こいつらはこれしかできないのか。
そんなことを考え、自分の旗色の悪さから現実逃避していると。
まさかのところから、助け船が出てきていた。
「関係あるよ。-クンは友達だし、彼にもこの景色が見えているんだから。」
言葉はしっかりしているが、声は春のそよ風のような、透き通った声だった。
ボブの少女だった、助け船を出そうとした子に助け舟を出されるという恥ずかしい限りだったが、ひるんだ髪長女に少女はさらに畳みかけた。
「それとも、あなたが正しい景色を私たちにおしえてくれるのかしら?」
「景色に正しいがあるかどうかも分からないのに。」
強い。僕が助け舟を出すなんておこがましい限りだったが、このままかばわれるのは悔しい。どうしようかと悩んでいると、髪長女が自分の後ろで絵を丸めて持っているのに気が付いた僕は、直ぐに動いた。
「じゃあ、君の絵も見せてよ。」僕は素早く髪長女から絵を奪い上げ、自分の胸ぐらいの高さに掲げ広げた。
なんとも、陳腐な絵だった。髪長女も海と浜が書いてあったが、海はべた塗で奥行きなんてあったものではなく。空と海が雑に区切ってあって、まるで、適当に青を塗りたくったようなところに薄い肌色で浜が描かれた絵だった。
少女はにやりと笑い、とどめをさす。
「これが、本当にある景色なのかしら、いったいどこで、どんな理由でこんな風に描いたのか、ここにいる他に子にも、ご教授いただきたいわね。」
気が付けば、周りの子たちの視線がそっとからしっかりに変わっていた。
多くの生徒が見守り、中にはくすくすと笑い出す声まで聞こえた。
このまま、最後までいきたかったが先生によるストップがかかった。
「みなさん、早く絵を提出してくださーい。」
髪長女は、悔しそうに顔をゆがめながらにいった。
「あなたのせいで、絵を出すのが遅れたわ。教えるのはこんどね。-クンもさっさと絵を返しなさい。」
素早く、僕から絵を取り返すとさっさと絵を先生に出しにいった。取り巻きは、先生に見えないように僕たちを睨みつけながら、席に戻っていった。
僕たちは、遅れながらもそのあとに絵を出しにいった。そのときに、
「-クンの絵もとてもきれいだよ。」とそっと
そのあと、すっきりとしたのは僕たちのほうが髪長女より絵を出すのが遅かったのに、先生は絵を髪長女の絵を上にして「トントン」とまとめるときに生徒に見えるように、ゆっくりとまとめたことだった。
僕と少女は顔を合わせて「くすっ」と笑いあうのだった。
これが」僕と少女の出会いだった。
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