雨の味、何故跪く?
手首に刺さっていた針金を抜くと
昇り龍がこめかみから吹き出す
身体の中の無数の肺たちが
酸素から酸素へと意識を伝達する
赤髪の少年をそっと背負って
冷たく低いビルの窓
乱反射する水飛沫を被った
雨の味
鋭角に、広範囲に
都市を越え、山を越え
癒やしと救済の音楽
心の闇を穿つ光の矢
脳天に降る梔子の花
焦土と化する鈍色
俺の声
放射線状に拡散
街中で唸り出す不発弾
ズダダダ、ダダダダ、ダダダダ
されど外界の冷気が織り成す
意識の暗黒大陸は堅牢
脱出、ならず
俺の
いっそのこと舌を噛み千切ってしまえば
ワイヤレスのイヤホンぶん投げて、電車乗って
家の近くのコンビニで禄に読まない雑誌買って
布団被って、逃げ出してしまえば
赤髪の少年をそっと背負って
冷たく低いビルの窓
乱反射する水飛沫を被った
雨の味
光の矢
ズダダダ、ダダダダ、ダダダダ
石と臼
火とビート
見上げれば雲の切れ間
天元を跳ぶ影
そっと見下ろしていた
穴の開いたジーンズ
擦り剥けた膝
誰かの声を受け止めている
誰かの
遠い銀河の切れ端の、切れ端の
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