第4話 白い仮面をつけた謎の人物
私たちは、幕府の追手から逃れるために、馬に乗って京都を目指した。先生の師匠と再会できるかもしれないという期待と、百科事典が元の時代に戻る鍵になるかもしれないという希望が、私たちの足を速めた。
京都に着く前に、私たちは山道で不思議な人物に出くわした。草むらに隠れているようなその人影は、私たちを狙っているように見えた。
「あれは一体誰なんだ?」先生が小声で聞くと、私も不安になりながら、その人物に近づいていった。
その人物は、私たちの気配に気付くと、素早く立ち上がった。紫色の羽織と黒色の袴を着て、銀色の髪を後ろで束ねていた。その風貌は、この時代の人間とは、どことなく違ってみえた。
「おい、そこの者。何者だ?」先生が詰め寄ると、その人物は笑顔で答えた。
「君たちが持っているのは、百科事典だね?」
私たちは驚いて、どうしてそれを知っているのかと尋ねた。すると、その人物はさらに笑って言った。
「私は知っているよ。百科事典が、君たちの元の世界に帰る方法を教えてくれるということをね。」
私たちは興奮と疑惑が入り混じった表情をした。その人物は、私たちの顔を見て、にこりとした。
「私は、君たちと取引をしたいんだ。その百科事典を私に渡してくれたら、君たちに手がかりを教えてあげる。」
先生と私は目を見合わせた。しかし、その人物が何者なのかもわからないし、百科事典を渡すのは危険だと思った。
「君たちがそれを持っている理由は分かっているさ。でも、君たちの未来は、この時代に影響を与える力を持っているんだ。」その人物は、白い仮面をつけて、目だけを見せていた。その目は、深い青色で、鋭く光っていた。その目は、私たちの百科事典に強い関心を持っていた。
「私は、この世界の未来を変えられると信じているんだ。そのためには、この預言書が必要なんだよ。君たちには、この預言書の本当の価値がわからないだろうけど、私はわかるんだ。この預言書には、この世界の運命を決める秘密が書かれているんだ。」その人物は、百科事典を預言書と呼んでいた。私たちは、その人物が百科事典を魔法の道具として使おうとしていることに気づいた。
「どうするの、晴香さん?」先生が私に聞いた。私は迷ったが、先生にうなずいた。
「わかりました。百科事典は渡せません。」
私が言うと、謎の人物はにやりと笑い、「それならば、提案がある。君たちの護衛ととして、同行してあげよう。」と言った。
私と先生は、お互いの顔を見合わせた。その人物が本当に私たちを助けてくれるのか、それとも裏切るのか、わからなかった。しかし、私たちは一人で京都に行くよりは、彼の力を借りる方が安全だと思った。
「いいですよ。でも、百科事典には手を出さないでくださいね。」私が言うと、その人物は頷いた。
「もちろんだよ。私は君たちの味方だからね。」その人物は言って、白い仮面の下で笑った。その笑顔は、本当に信用できるのか、それとも嘘をついているのか、私には分からなかった。
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