第56話 魔王に遭遇
第56話 魔王に遭遇
レクサム『誰だ…お前…』
あのレクサムが怯えている様だ。こんな顔をしているレクサムは初めてだった…
?『力の差を感じていますね?それも良いですよ!私は、怯えも恐れも大好物なので…』
ゼイル『お前…人間では無いな…多種族の者でも無い…こんな…異質さを持つ訳が無い』
シード『ニイさん!警戒を!オウガンも結界術を!』
?『そんな事しなくても…』
シード『! 早い…何だ瞬間魔法を使った様子は無かった…まさか素の早さで…』
?『私は獲って食べたりはしませんよ』
?『何か勘違いをしていませんか?』
グラドール『名前をまだ名乗っておりませんでしたね…私は、グラドールと申します。人間の者達が確かこう呼んでおりましたね…「魔王」と…』
レクサム『こいつが…』
ゼイル『魔王だと…』
シード『落ち着け…』
オウガン『3人を守らないと…』
グラドール『おやおや…おやおやおやおや!そちらの女性のお方…もしや公認魔法師ですか?』
ニイ『…』
レクサム『答えろ!姉貴!』
ニイ『はい…そうです…』
グラドール『そうですか…』
グラドール『何て…本日は!こんなについているのでしょう!』
グラドール『一度会って話したかったのですよ…その…魔法師と言う者に』
レクサム『俺達をどうする気だ!この国には確かに気配も魔力も感じられなかった…』
レクサム『しかもあの紋章術…強制だけでは無い確かに、「連動」も備わっていた』
グラドール『ほう…解析魔法と言うものですね…』
レクサム『連動は掛けた本人が、気配と魔力を隠せないと意味が無い高度な術だ。』
レクサム『しかもあの練度は、完成していた…』
グラドール(この者…練度までも見抜いている…)
グラドール『ついさっき…勘違いをしていると申しましたよね…それは私が「魔王」と言う素晴らしい響きで呼ばれている事では無いのですよ…』
グラドール『私は、人間(あなた様方)お客人に昔の様に…人間で言う所謂…悪さをもう致していませんので…』
グラドール『ある者との戦闘で…私は深い傷を負いました。その者は、決して私に留めを刺さず見逃しました…』
グラドール『私はその者に問い掛けました。何故私を見逃すのかを…』
グラドール『すると…その者は答えたのです。』
?『もう君に…戦う意思が宿っていないのと…悪さをする様な目をしていないから…かな…』
グラドール『と』
グラドール『これ以上傷付けない…深傷の私に戦意が無かったのを…あの者は分かっていたのです。』
グラドール『そして私は…目覚めました。「魔王」として君臨するのでは無くひたすらにお客人を向かい入れようと…』
レクサム『だがそいつに掛かっている魔法術は、紋章術の「強制」だ!これは立派な魔術だ!人を苦しめる術だ!』
グラドール『あっ!これは…私の魔法術なのですよ』
さっきまで人間と変わらなかった青年は、人形に戻っていた
レクサム『変身魔法か…』
グラドール『この様に重複魔法によって次から次へと、作り出せます。一つの人形で…』
グラドール『この様に動かす事も可能…』
グラドール『まるで本当の町の様に』
パチッ
グラドールが指を鳴らすと無数にある人形は、人間の姿となり人間の歩く様子と何ら変わりの無い町の様になった…
ニイ『何と言う再現力…』
レクサム『人間の動きを細部まで観察しないと、出来ない芸当だ。』
グラドール『そう!そうなのですよ!子供の姿で、人間を観察していました。あの時は、バレそうになりましたが今ではこうしてバレないように変装も出来ます。』
グラドールの変身魔法は、見抜けない程に完璧だった
レクサム『だが…それでも「魔王」と言う存在は長い間人々を脅かし続けた…そう言って人を襲っていない証明はどこにも無いだろ』
グラドール『人をもし襲えば…この国の場所がバレてしまい…後に多くの討伐隊がここに向かって来るでしょう…』
グラドール『先程も申しましたが…私は深い傷を負っています。どうにもこの傷は治らないのです。魔の存在は、光属性を持つ者が少ない…それが関係しているのかは分かりませんが…全ての魔の存在は、回復術を使わなくてもその者が生まれ付き持つ魔力質量によって癒える速度と範囲が変わります。』
グラドール『私は、「魔王」と言う魔の存在を統べる存在ですので魔力質量は、上位です。ですが…この傷は癒えなかった。そのぐらい深い傷でありあの者の強さなのです。』
レクサム(魔王に深傷を負わせる程の強さ…一体何者だ?)
?『ヘックシュン!』
?『どうなさいましたか?セザール国王』
セザール『誰かが噂を申しておるのかな?私も随分と知られた者だな…ハッハッハッ』
?『セザール国王…お身体にお気を付け下さい…あまりお身体に障る夜分の外出を避けて下さい。』
セザール『分かっておる…』
?『中央国グリフィンダルからあの…「招待状」が届いております。』
セザール『ついに今年も来たか…』
?『はい』
?『今年も王族会議が近付いて居ますね...セザール国王』
セザール『あれは私の楽しみでもある特に会議の最後に皇帝陛下の下(もと)で食事を共にするのが何よりの楽しみだ』
?『セザール様は昔から皆様とお食事を共にするのがお好きだと祖父からお聞きしております』
セザール『私の孫であり娘でもあるシェルピーよ...元気にしておるだろうか...』
?『シェルピー様はオスマーズで公認魔法師になったと聞いております。ついさっき知らせが届きました。』
セザール『そうか…王族は代々学園で学ばないと聞くが…』
?『それが…例の若き会長が特別入門者としてシェルピー様ともう1人...不思議な子を招待したと...』
セザール『不思議な子とな...』
?『はい...見た事も感じた事も無い属性をお持ちのようでしてあの不治の病を持つ植物をも治して見せたと…』
セザール『もしや...』
?『セザール国王...何かご存知でしたか?』
セザール『いや...何でも無い...少し昔を思い出してな』
セザール『早くシェルピーに会いたいのう…姉になる「ミシリス」と「レティア」も待っておるぞ…』
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