　田舎から出てきたわたしにとって、ミナミは不思議な町だった。

　0時を回って終電がなくなっても人がいなくなることはなく、スーツをびしっと着たビジネスマンらしき人も、ギターを背負った赤髪バンドマンも混在し、なんなら酔っ払いがそこに寝転がっちゃったりして、真面目そうな人が解放感からか大きな声で叫びだすような、そんな街。

　20歳のころは田舎丸出しだったから、いいカモだと言わんばかりにキャッチに足止めを食らっていたのだけど、もうそれも5年もたてばスルースキルが身についた。

　スルーのコツ？

　どんなにしつこくても目を合わせない事。そして返事をしないこと。

　そしたらね、30秒後には離してくれるから。

　話しかけられなかったら、今後絶対に接点がない関係。

　同じ街にいても、もう二度と会う事も、距離が縮む事もないんだろうな～なんて。

　ふと考えたり。

　それでもね、やっぱり迷惑なんで！速足で帰っちゃうんですけどね！

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