短編「紅蓮ノ生脈」(完)

不可世

一話完結

生きては問う

生死の空気感

誰もが生きながらにして死を問う

それは夢見と似て

掴めぬ幻影


しかし死を問うことは

優しさに変わりない

問いとは、悩みと似ている

答えを導きたいと

設問にしたカルテのようなものだ


さて諸君

死を考え至る通りとは

生に至れずにいるからではないか

そうであろう

きっとそうであるだろう


では死が出現する

環境とは何か

生に対する恐怖か

それとも医学的知的好奇心か


どれも愚問だ

死を考えるとき

人はどこかで死に夢を見ている

死とは何気ないリラックスでもある

そう現実逃避であるのだ


だからだろうか

人は不死になれなかった

死を抱くことが

生を癒す

そんな通りが確かに人を安定させている


この代々続いた人類史

言葉や感情そして時代風景

全ては変わっていった

死があったから

守りたいと道を築いた


死とは、人に感動を与えた

悲しいだろうが

死がなくては、守ることも出来なかった


死とは、

言うならば

人に命を吹き込む

着火剤でもあったのだ


さて生きる諸君

死を知り、尚生きる諸君

死は終わりではない


日々を追い立てる炎だ

その紅蓮に乗って


存分に楽しむといい

もう、死よりも明確な今を大切にするがいい


さてさて

灯の音が聞こえるかい

燃え落ちず、そして灯を絶やさず


最終日まで高らかにあれ

がんばれよ。

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