俺のことが大嫌いな男が女になった俺に惚れてる

富田林早子

もしかして俺女の子向いてる?

「なんじゃこりゃあ?!」

俺は朝目覚めたら、女になっていた。

ある場所になくてない場所にある、そんな

なぞなぞのような状態だった。

恐る恐る鏡を見てみると、そこには思春期男子には刺激が強すぎるものがそこにあった。

普段、画面越しでしかみれないものが、目の前にある興奮でおかしくなりそうだ。


一旦どうするか考えた後に、俺は母親の下着を拝借する事にした。

「惨めだな、これ」

母親の下着を付けている事実と、今の俺の姿を見てしまい、俺は下着を付けるのを止めた


それにしても、どうする。誰かに連絡するしかないか、そう思い連絡先を見つめるが見事に男しかいない。この姿になったら何されるか分からないし、呼ぶなら女子だろ。と連絡先に唯一入っている幼なじみに電話する。

「わかった〜」

すぐに来てくれるらしい、ありがたい。


「来たよ〜」

とてもびっくりしていたが、いつも通り振舞ってくれることが嬉しかった。それだけなのに、涙が出そうになった。女になったからだろうか。


「とりあえず、色々買ってくるね〜」

色々買ってくれるらしい、何を買うのかはさっぱりわからなかったが待つことにした。

「やったぁあ!」

俺は叫んでいた、幼なじみが買ってきたのは下着だった。よかった母親の付けなくて。いつもは野太い叫び声なのに、ほぼ悲鳴に近い声が響いている、これも女になったからか。


「終わったら外行くよ〜」

この姿で外出するなんて、と初めは思ったが何もしなかったらしなかったで、後悔する気がしたので、行くことにした。


休日のショッピングモールは激混みだ。

人の波にのまれて溺れそだ。

男だったら、絶対に体験しなかっただろうって事を今身をもって体験してる。

ぶつかってくるおじさん、セクハラ紛いなことを言う同年代。最悪すぎる。

「いつもこんな感じなのしんどいな」

「だから私は強いのよ」

納得


服屋に入り、自分じゃ絶対選ばないタイプの服を購入した。似合ってるって言われたら嬉しいし、思わず買ってしまう気持ちが分かった。幼なじみのセンスに感謝した

「かわいいね〜似合ってるよ」

「ありがとう」

柄にもなく照れてしまう、口角が無意識に上がる、男だったらスケベ顔のはずなのに笑ってる姿がかわいいと、もてはやされるので気分がいい。



お腹が減ったので、次はフードコートへ行く

お昼時を避けたので、ごった返してはない。慣れない姿にどっと疲れが出る、いつもならご飯の為に生きてると言っても過言ではないのに、いつもより食欲も少ない。


「私他に行きたい所あるから、先フードコート行ってて」


と言われ待ちぼうけ中。何かを買おうも財布も無いし、帰りたい。


キョロキョロしながら待っていると、近くに俺のことが大嫌いな友達直希がいた。事ある毎に、ブツブツ文句を言うし、チクチクネチネチしてる。嫌われてる自覚はあるが悪いやつじゃないので、仲良くしてる。いつもなら話しかけるのに今はこんな姿、向こうから見れば他人だが、直希のことを分かってる状態で無視するのは心が痛い。


ぼんやりしてると、向こうから直希がずんずんやって来た。それほど混雑はしてないのに、わざわざ俺の席の横に着いた。もしかしてお見通しってやつなのかと、ドキドキしてると、直希が話しかけてきた。


「あの、ご飯奢りますよ」


混乱した、ご飯奢ってくれるのかあの直希が。柿ピー一粒くれるのも躊躇うほどの、どケチなのに。


「いや、お姉さんかわいいって思ったんでつい…」


これ、ナンパではないか。女の子に耐性ないどころか、喋ってる所見たこと無いのに。

それなのに、きっとめちゃくちゃ勇気だしてるのに、俺が男なばかりに。申し訳ない


「嫌だったら大丈夫ですよ、急に話しかけられてびっくりしたと思いますし。」


耳まで真っ赤になってる、何だか可哀想だ。俺もお腹空いてるし今回は奢って貰おう、直希は墓場まで持っていく話かもしれないけど、まぁいいか。


「いいんですか、ぜひお願いします。」


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