第一話「生きる」
「なぁ、俺ってなんのために生きてるんだろう」
とある学校のとある日の昼休み。
空き教室の一角で弁当をつまみながら悠吾が呟く。
「どうした急に」
なぜ急にこんな質問が出てきたのか分からない亮馬らいつもの3人は、思わず箸を止める。
「いやさ、俺ら毎日こうやって生きている訳じゃん?それでさ、ここ1年、なにか目に見えて成長したか?なにか誇れるものを手にしたか?」
「……言われてみるとそうだな、思い出は沢山できたけど、なんというか、成長したかと聞かれるとはっきり答えれないな」
景も思うところがあるのか、真剣な顔でそう言う
悠吾が思っていたより真剣に話すので、他の3人もつられて、真剣に考える。
「だろ?それでまぁ、こうやって何も成し遂げぬまま1年を過ごしたわけじゃん。
それで人生が残り60年位と仮定して、ずっとこのままだったら怖くねぇか?」
「それ寝る前に考えたら寝れなくなるやつじゃん」
「まぁ、その時はヤクルト1000よ、とまぁ、ヤクルト1000は端に置いといて……お前らはどう思う?」
玄樹の一言にサラッとノリツッコミをしながら流した悠吾は、ただ漠然とした質問を投げかける。
「なんか想像したら、俺も怖くなってきた」
「でも、本当にそうだよね……実際特に胸を張って誇れるものもなければ、夢中になってこれだけで良いっていうものもないしね」
「俺はあんま分かんねぇけど、それでもいいんじゃないかなって思うけどな」
「で、ここで改めて、俺らってどうして生きていると思う?なんで生きてると思う?」
一度、リセットし、再度問題を提示した悠吾に景は少し悩んだ様子を見せてから
「なんか悲しいかもしれないけどさ、『生きる理由はないけど、死ぬ理由もない』って感じで生きてるっていうのはない?」
「確かにな……まぁ、、偏った考えにはなるが、俺らはこの世界を大きく変えるようなことはしないわけじゃん?それならさ、なんか虚しくならないか?
毎日嫌々勉強して、二年後には何もしたいことも決まらぬまま受験して、そこで何のために役に立つのかわからない勉強して、それでただ生きるためだけに仕事して、死んでいくのって」
「すごく飛躍的でいやな想像だけど、確かにそうなりそうなんだよね。でも、そう考えるとそうなんだろうね、生きる意味って」
「そういえば、お前小説書いてるらしいけど、あれはどうなんだ?」
「あーあれね、なんか受験の息抜き程度で書き始めたけど、今になって考えてみると、僕が生きたっていう爪痕を少しでも残したいからだと思う、あとは純粋に楽しい」
「自己顕示欲的な?」
「わかんないけど多分それに近い」
「ところで、そもそも生きる理由って何だ?」
ついていけず、ボケーッと思ったことを口にする機械のようになってしまった。この疑問の核心ともとれる発言をする。
「あ、それは盲点だった、というか一番大事じゃねえかよ」
「そうだな」
四人で天井を見上げ、数秒後、悠吾が提案をする
「よし!一人一つづつ出していくか!」
「いや、おい!」
何か思いついたのかと持っていた景は思わず突っ込んでしまうが、直後、後悔する
「じゃあ、景」
「なんで俺だよ……と言いつつ浮かんではいるんだなこれが。というわけで俺が思うに『死ぬまでにしたいこと』じゃないか?」
そう弁当を片付けながら、平然と景は言う。
「一理ある、じゃあ次玄樹」
「僕はそうだねー、それこそ『生きた証を残すこと』かな」
玄樹は卵焼きを笑顔でほおばりながら
「玄樹らしいな、それじゃ亮馬」
「俺か?俺は別にいらない派だけど、強いて言えば『誰かを幸せにすること』というか『誰かと笑うため』とかじゃダメか?」
亮馬はお茶を一口飲んで少しクサいセリフを照れながら吐く
「なんかかっこいいじゃんか、まぁ、俺の場合は『生きる理由が何か探すため』かな」
悠吾がそういったところで、時計を見た景が悠吾の半分以上残っている弁当を見て
「まぁ、それはいったん置いといて、早く弁当食えよ。時間ねぇぞ」
「あ、本当だ」
そういって弁当を口いっぱいに掻き込む、悠吾。すでに食べ終わっているほかの三人は
「結局、生きる理由が何かははっきりとはわかってねぇよな?」
「そうだね、みんな『生きている』ことに変わりはないけど、それぞれの思いは違うわけだしね。みんなの意見にも納得できるけど、全部引っ掛かりがないわけではないしね」
「もしや、これが哲学ってやつか?」
亮馬が少し、目を光らせながらそう言ったところで食べ終わった悠吾が
「まぁ、とりあえず、生きる理由に関してはこれから見つけていって、死ぬ直前にみんなで答え合わせしようぜ」
「まぁ、そうだな」
「うん、その時は一緒にお酒でも飲めたらいいね」
「なんか今から楽しみだな」
彼らが立ち去った後の空き教室には日差しが照りこんでいた。
*あとがきコーナー*
久々の投稿ですが、まぁ、文が雑なのは変わらないとして
今回の作品は俺自身の考え方とか思想全開です。
まぁ、高校生が哲学をしたり、ちょっとした現代社会への反骨心を見せたりとまぁ、俺が高校生の間だけなんですけどね、これ書けるの、多分。
というわけで、今という時を存分に有効活用して書いていきます。
高校生の哲学的な昼休み 薄明 黎 @singononote
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