episode37 昼食
12時30分。午前の試合が終わり昼食の時間になる。人混みを避けたいのでいつも通りの屋上に来ていた。
「はぁ。あー疲れた。やっぱりここが一番だな。」
誰一人も来れないし、僕一人だけの時間になる。この時間が麗と一緒にいる時間の次に好きだ。落ち着けるし、自分のしたい事が誰にも邪魔されずに出来る。
僕はベンチに腰を掛け、体を伸ばす。
「んー!さーて今日は弁当を豪華にしてきたからな!今頃麗も驚いていることだろうな。」
そして僕は3段式弁当を開ける。
1段目にはワカメご飯、シラスご飯、鮭ご飯の三色を取り入れた。
2段目には主におかず。唐揚げなどの揚げ物。そして野菜代表としてちくわの穴の中にきゅうりやホウレンソウを入れた「野菜ちくわ」を入れた。
3段目にはデザート。フルーツやこんにゃくゼリーなどを入れた。
少し量はあるが、食べきれない程の量にしたので午後の試合も支障が出ないだろう。僕は箸を取り出し、挨拶をする。
「いたきまss…。」
バン! 扉が勢いよく開き、僕の知っている人が来た。
「やっほー!ルイ君!午前は暴れてたね~w」
「なっ、何で海原さんがここに……?」
「いやー色々な人にご飯を誘われたんだけど、なんか私の詳細を知られたくないし。だから屋上来たらいつも通り君がいた!」
なんか気まずくなりそうな予感が…。とにかく弁当を箸をつける。
「へー!今日のルイ君の弁当、豪華だね!少し貰っていい?今朝は少ししか作れてなくてさー。」
「いいですよ。好きなのどうぞ。」
「わーい!ありがとー!」
そうして、二人で僕の弁当を食べ進める。いつも通りおいしい。よっぽどおいしかったのか、海原さんがほめてくれる。
「凄くおいしい!これルイ君が作ったの?」
「はい。」
「凄ーい!私も見ならないとなー。マジで貰えて幸せ!」
「それはよかったです。」
黙々と弁当を食べ進め、あっという間に完食した。支障が出ないほどの結構なボリュームだったので満足している。
休憩がてら青空を眺めていると、海原さんが質問をしてきた。
「ねぇねぇ。なんであんなに急に強くなったの?確か能力値って前までFだったよね?明らかに私より格上の存在に今、君がなっているだけど。」
「えっ、その…、あの…あっ…。」
質問された直後、心臓の鼓動が早くなり、額や手から汗が出てきた。後、いきなりすぎてコミュ障の話し方にもなっていたし…
このことを話すか話さないかによって今後が変わってくる。海原さんは信用できる人なのか?そもそも僕は海原さんのことをあまり知らない。この場で言うと後から僕の身に何が起こるか分からない。
だから、海原さんにはこの情報を開示しない。そう決心した。
「えっとですね…。詳しくは言えませんけど、強くなったのは本当です。この交流会でも負ける気はありません!」
「そっか~。君にもいろいろあるんだね~!ってヤバ!もうすぐ時間じゃん!行こ?」
「もうそんな時間ですか!行きましょう。」
僕は海原さんは廊下を一階まで走った。
午後の部は後10分後にスタートなので準備もかねて間に合った。
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