第9話

「君の興味関心が、私にしか向いていないことを、もっと深刻に考えればよかったよ」


 わからない。

 どうして君が連行されるの?

 世界を救った君が、どうして罪人として扱われる?


「君の行いは正しいよ。けれど、魔物と戦うことは、人々の生業なりわいと密接に結びついていたからね。社会的にも宗教的にも、世界を平和にしたことで与えられた損害は、うーん、考えたくないな」


 納得いかない。

 それは君が処刑されることで、収束することができるの?


「それができるんだよ。つまり、この世界のテンプレさ。ざまぁになるかわからないけど。まぁ、これでやっとこの恐怖から解放される」


 笑わないで。

 行かないで。

 独りにしないで。


「世紀の大悪女は断罪されて、騙された英雄は聖女と結ばれました。めでたしめでたし」


 断頭台で君の首が飛ぶ。

 何もできない僕は、聖女という訳の分からない女と結婚して、死ぬまで生き続けないといけないのか?


――イヤダッ。

 そんなの、イヤダっ!!!!

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