第6話

「ねぇ? どうしてジョンとアランはハンナをイジメようとするの?」


 ジョンとアランの様子がおかしい。どうしてかしら? 私は破滅をひたすら避けたいのに、いきなりジョンとアランのあんな行動。てか、本当にあぶないところだったわ。


 なぜか、ジョンとアランは顔を赤くしている。えーっと、なんなのかしら? 何も言わないジョンとアラン。あーもー! 男の子のクセに!


「ちゃんとわけを言って!」


「あのな、ヴィクトリア? 実はハンナのことが好きなんだよ」


「そうそう」


 え? は? ちょ? ジョンとアランはハンナのことが好きなの? ちょっと待って? ひょっとしたら、あれかしら? 好きな女の子には、ついついイジメたくなるあれかしら? おい!? だからといって、イジメようなんて言うものなのか!? えーっと、私の胸キュンを返せ! 特に、ジョン・アート!


「うふふ、うふふ、うふふ」


「どうした? ヴィクトリア? なんか怖いぞ」


 あ、そうなの? 私はやっぱり悪役令嬢なのかしら? やっぱり、ジョンとアランはハンナのことが好きなのね。ふう、私って本当にバカみたい。あーもー! ジョンとアランなんか知らない!


 私は怒ってひとりで貴族学校の中庭に行く。えーっと、ついつい期待をした私がまるでバカみたい。あのジョンには胸キュンをしてしまっていた私。やっぱり悪役令嬢ってこんな感じなのかしら? 私はちょっと悲しいけど、悪役令嬢だから仕方ないよね。


 私は貴族学校の中庭にひとりでいる。いかん、どうやって破滅を避けたらいいのかしら。しかし、前世の記憶の乙女ゲームの内容をよく思い出せない。ヤバい、どうやって破滅を避けたらいいのかしら?


 すると、目の前に美少年が立っている。


 はい? どちら様でしょうか?




続く

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