第2話

 って、ちょっと待って? 私が胸キュンしていたら破滅してしまう! 私はジョンの手をほどこうか迷うも、ジョンのにぎる力が強くて出来ない。この状況はなんなのかしら? 破滅への一歩? それとも?


 すると、ジョンが立ち止まった。ここは草原の真ん中。私がドキドキしているのを気にもせずにジョンはこう言った。


「なぁ、なんかあったのか?」


「え?」


 私はかなりドキッとする。どうしよう、何か気付かれたのかしら? 私は言葉を探す。しかし、なんて言うかをまったくわからない私。ヤバい! 黙っていたら怪しまれる!


「いいか、ヴィクトリア? ヴィクトリアが頭を地面に打っていた時に笑っていたのは謝るよ。でも、今のヴィクトリアを見ていると、まるで別人のようだ」


「何を言っているのかしら? 私は今までどおりよ?」


 そう返したはいいものの、今の私は言葉を必死で探す。けれども、まるで言葉を見つけられない。このままだと破滅するのでは!? 私は表情が暗くなる。


「ヴィクトリア? 好きだよ?」


 え? は? ちょ?


 何を急に言い出すのかしら?


 は!? これはひょっとしたら、破滅への一歩かもしれない! ヴィクトリア・ダイヤ、ダイヤ家の公爵の一人娘、ここで破滅するわけにはいかない! 私はジョンにこう言った。


「あらー? 私はもっといい男の子を見つめているのよ?」


「ヴィクトリアのそういうところが好きだよ?」


 あーもー! ああ言えばこう言う!? てか、またちょっとだけ胸キュンをしてしまった!? もう! 知らない!


「私はひとりで貴族学校に戻るからね!」


 そう言って私は貴族学校へと歩き始める。まったく、ジョンってチャラチャラしているよ! でも、さっきの言葉を思い出してはニヤニヤとしている私。いかんいかん、破滅してしまう。でも、私はこれからどうなるのだろうか? そういえば、私はゴースト術を学校で学ぶ身。生まれつきの能力が死者と話せること。魔法習得で、ゾンビや人の死を操れるようになる。まったく、なんの役に立つのかしら?




続く

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