第37話   砂漠エリアでの戦い、サンドワームと偽スフィンクス!

 森林エリアを抜けると、次に待ち受けていたのは広大な砂漠だった。


 ここにはサンドワームっていうデッカいミミズみたいな魔物が生息してるんだって。


 え? どこ情報かって?


 もちろん、パパだよ。


 砂漠の空は澄み渡り、太陽がジリジリと照りつける。


 地面は熱で波打つように見えるけど、そんな暑さもあーしには気にならなかった。


「でもそんなに暑くないな……ああ、そうか。あーしの〈灼熱耐性〉のスキルのおかげか。なら、よし!」


 あーしは自分に言い聞かせながら、リスナーたちに笑顔を見せる。


「さあ、どんどん魔王城へ向かうよ!」


『花ちゃん、頑張れ!』


『砂漠ってめっちゃ暑そう!』


『何かすげえのが来る予感がする……』


 砂漠の中を進んでいくと、風が一瞬止まり、地面が突然揺れ始めた。


 砂が微細に震え、空気が張り詰める。


 あーしの心臓がドキッと跳ねる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………


 地面が割れ、巨大なサンドワームが姿を現した。


 その姿はまさに全長10メートルを超える巨大なミミズだった。


「うっわ、マジでキショい!」


 サンドワームの体は湿った砂で覆われ、その表面には無数の小さな突起がぎっしりと並んでいる。


 見るだけで鳥肌が立つような不気味さだ。


 リスナーたちも同じ気持ちになったようだ。


『うげええええええ!』


『キモキモキキモ!』


『グロすぎる!』


『花ちゃん、気をつけて!』


「大丈夫、あーしは負けないよ!」


 あーしが70倍〈光気功〉を発動し、意気込んだ直後だった。


 サンドワームは口を大きく開け、あーしに襲いかかってきた。


 その口の中は鋭い歯でびっしりと埋め尽くされており、一噛みされたらひとたまりもないだろう。


 しかし、あーしは怯むことなくその攻撃をかわし、反撃の一撃を加えた。


「――〈千歩神拳〉!」


 あーしの右拳から放たれた気弾がサンドワームに直撃。


 強烈な爆発とともに砂塵が舞い上がり、熱風があーしの髪を揺らす。


 そしてサンドワームは、苦しそうに呻きながら地面に倒れた。


 リスナーたちの歓喜のコメントが流れる。


『やった!』


『花ちゃん、すごい!』


『マジですげえええええええ』


『臨場感がハンパねえええええええ』


『見ていて気持ち良すぐる!』


『次も頑張ってね!』


「みんな、ありがと! この調子でどんどん行くよ!」


 あーしが移動しようとしたときだった。


 地震が発生したように地面が揺れ、砂の地面から巨大な物体が次々と姿を現す。


 サンドワームたちだ。


 どうやら1匹だけではなかったようである。


 次々と地面から現れるサンドワームたちが、あーしを逃がさないように四方から囲んでくる。


 その数は全部で10匹。


「でも、あーしは負けないよ!」


 あーしは両拳に〈気〉を溜めると、サンドワームたちに向かって〈万撃拳〉を繰り出した。


 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!


 ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


 空には爆裂音が響き、砂漠の中で無数の閃光が交錯する。


 砂の地面が割れ、全部で10匹のサンドワームたちは残らず爆裂四散していく。


『花ちゃん、強い!』


『かっこいい!』


『すげええええええ!』


『神だ……神の力を持つ神ギャルだ!』


 あーしの心臓はドキドキと高鳴り、アドレナリンが全身を駆け巡る。


 この感覚、戦いの興奮がたまらない。


 同時にリスナーたちの声援が力となり、あーしの背中を押してくれる。


「さあ、これで全滅したみたいだし、どんどん進もう!」


 砂漠の先にはまだ見ぬ敵が待っている。


 でも、あーしはどんな敵にも立ち向かう覚悟だ。


 リスナーたちと一緒に、あーしは砂漠を抜けるために歩き始める。


 砂漠の広がりは無限にも思えるが、あーしは一歩一歩前進していく。


 太陽の光が砂粒を輝かせ、まるで黄金の海を歩いているかのような感覚に包まれる。


 これまでの連戦で少し疲れていたが、心は充実感で満たされていた。


 砂漠を抜けたら一旦、異世界道場で休もうっと❤


 そんなことを考えながら進んでいくと、遠くにぼんやりとした影が見えてきた。


 それはオアシスだった。


 青々とした木々と澄んだ水の映像が目に飛び込んでくると、あーしの心は一瞬でリフレッシュされる。


「わー、オアシスだ! ちょっと休憩しよう!」


 オアシスに到着すると、あーしはすぐに水辺に駆け寄り、冷たい水を手ですくって飲んだ。


 その水の冷たさが体中に広がり、疲れが一気に癒される感じがした。


『花ちゃん、お疲れ!』


『休憩大事!』


『次の戦いも頑張って!』


「みんな、ありがとう! 少し休んだら、また進むよ!」


 オアシスでの休憩を終え、再び砂漠の中へと歩を進めると、遠くに見える巨大な影が近づいてきた。


 それは巨大なスフィンクスの像だった。


 だけど、明らかに動いている。


 あれはスフィンクスの像に似た魔物だ。


 名前はよく知らないけど、とりあえず偽スフィンクスと呼ぼう。


『何ぞあれ!』


『この砂漠エリアのボスっぽい?』


『気をつけてね、花ちゃん!』


「うん、あれが次の敵みたいだね。でも、あーしは負けない!」


 スフィンクスの像に近づくと、その目が突然光り輝き、地面が再び揺れ始めた。


 巨大な像が動き出し、その圧倒的な威圧感にあーしは一瞬息を呑んだ。


 しかし、すぐに気を引き締め、戦闘態勢に入った。


「来なさい、あーしが相手だ!」


 スフィンクスはその巨大な手を振り下ろし、あーしに襲いかかってきた。


 地面が砕け、砂が舞い上がる。


 だけど、あーしは冷静にその攻撃をかわし、〈光気功〉を最大限に発動させた。


「――〈千歩神拳〉!」


 あーしの拳から放たれた気弾がスフィンクスに直撃し、巨大な像は爆発音とともに崩れ落ちた。視


 リスナーたちの歓声コメントが画面いっぱいに溢れた。


『だからあっさりと倒すなwwwwwww』


『花ちゃん、すごい!』


『マジでかっこいい!』


『常人離れすぎるwwwwwwwww』


『もう無敵だろwwwww』


『魔王のほうを心配するレベルの強さwwwww』


「色々なコメントありがとね! あーしの旅はまだまだ続くよ……でも、その前にちょっと休憩させてね――ほい、異世界道場」


 あーしの身体が膨大な光に包まれ、完全安心なスキル空間へと移動する。


 もちろん、リスナーたちが困惑したのは言うまでもない。




〈ギャル空手家・花ちゃんch〉


 最大同接数 603万0000人


 チャンネル登録者数 504万2000人

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る