【完結】金髪ギャル空手家がダンジョン配信したら大バズリした件 ~圧倒的な強さで楽々とソロ攻略しすぎたから、その勢いで魔王を倒しに異世界へ行くことにしたよ❤
第25話 大商会の推薦状、向かう先は冒険者ギルド!
第25話 大商会の推薦状、向かう先は冒険者ギルド!
初老の大金持ちの人の名前は、クロス・バースクロインという名前だった。
何でもこの街道の先にある王都の大商会の会長らしい。
つまり、見た目どおりの本物の超大金持ちだった。
「ぜひともお礼をさせてください! お金ならいくらでも差し上げましょう!」
そう言ってクロスさんはあーしに頭を下げてくる。
「とんでもない。あーしはただの配信者の空手家です。お礼なんていりません」
と、あーしは本音を口にする。
これはマジ。
だってあーしにこの異世界のお金は必要ないもん。
あーしには異世界道場のスキルがあるから、疲れたりお腹がすいたら異世界道場で休んだり食べたいすればいい。
娯楽だってメッチャ充実しるしね❤
などと考えていると、クロスさんが「配信者? 空手家?」とあーしの肩書に首をかしげる。
「あなたは高名な冒険者ではないのですか?」
「冒険者?」
今度はあーしが首をひねる番だった。
冒険者って何?
そんなあーしの考えを読んだのだろう。
もしくはあーしがド田舎からやってきた無知な小娘だと思ったのかもしれない。
クロスさんは咳ばらいを一つすると、冒険者について話してくれた。
冒険者というのは日雇いの命知らずな者たちのことである。
毎日が生きるか死ぬかの連続で、実は高難易度な依頼は受けたくないと考えている人間が多いという。
なので街の近くで薬草などを採取するクエストで日銭を稼ぎ、明日の不安を紛らわせるために酒を飲む輩が大半らしい。
つまり、口先だけの飲ん兵ばかりってことね。
とはいえ、その中でも一角に成長する人間もいるという。
そういう冒険者は順調にランクを上げていき、やがては王国騎士団長とも互角に話せるSクラス冒険者になる。
やがては国王から魔王討伐の勇者に選定されるチャンスにも恵まれるらしい。
というか、本気の冒険者はすべてそのSランクを目指すんだって。
「でも、魔王を討伐するのにどうして王様の認定がいるの? 自分で勝手に魔王の元へ行って倒せばいいじゃん」
「いやいやいや、そんなことはできません。魔王が住む魔王城は、このシルバニア大陸からはるか西の海に浮かぶ戦魔大陸にあるのです。そこへは潮流と飛行魔物によって普通の船では絶対に辿り着けませんし、その戦魔大陸に行くのにも五大陸の国王の許可証がなければならないのです。そして、その最低限の条件を揃える1つがPT全員がSランクの冒険者でなければならないのです」
ふ~ん、とあーしは話半分で聞いていた。
正直なところ、そんな面倒な条件を揃えたくない。
でも、どうやらまともにはその戦魔大陸に行くのは無理そうだ。
じゃあ、どうしよう?
何か伝説の飛行船とか、古代文明の謎の技術で造られた船とかないかな?
そんなことを思っていると、クロスさんは「そういえば」とあごをさすった。
「王都の冒険者ギルドのギルマスターが、若い頃に伝説の移動手段を見たとか言ってましたな」
「冒険者ギルのギルドマスター?」
「おや? 冒険者ギルドもご存じない? 冒険者たちに仕事を斡旋する職業斡旋所のことです。そしてギルドマスターとは、その冒険者ギルドの長でして、元Sランク冒険者なんです。そんなギルドマスターは若い頃に戦魔大陸に向かった勇者PTの荷物持ちをしていたというのです。もちろん、そのPTが戦魔大陸に向かう前に危ないからとPTから外されたらしいのですが、そのときに勇者PTは不思議な移動物体で戦魔大陸に向かったというのです。船でも飛行船でもない、銀色の円盤型の移動物体だったそうです」
銀色の円盤型って……それってUFO?
はははは、まさか。
あーしが乾いた笑みを浮かべると、クロスさんは「金が要らないのならば、せめてこれぐらいはさせてください」と胸元から1枚の紙きれを取り出した。
その紙切れをあーしに差し出してくる。
「わたしの商会の推薦状です。普段は遠出するとき屈強な護衛を連れているのですが、今日は不倫相手の屋敷にお忍びで向かっていた途中でして護衛は連れて来なかったのです。なので時々こうして襲われてしまうのですが、そのときにあなたのようにどこからともなく助けが現れましてね。そういった人たちはなぜか強いのに冒険者に登録していない人たちがほとんどなのです。ですから、いつでも助けてくれた人にお礼ができるようにわたしの推薦状を常に携帯しているのです。この推薦状があれば王都で豪遊もできますし、冒険者ギルドへ行けば最初から好待遇で接してくれますよ」
おお、まるでゲームのチュートリアルなお礼サンクス!
あーしは喜んで推薦状を受け取った。
クロスさんは満面の笑みを浮かべると、「では、わたしはこれから不倫相手の元へ向かいますので妻にはくれぐれも内密に」と言って馬車に乗った。
「本当にありがとうございました。ハイチンシャのカリテカさま」
と、御者さんも赤ちゃんのような笑みでお礼を言ってくる。
うん、あーしの肩書はそんな卑猥なものじゃないよ。
配信者で空手家だからね。
などと、あーしは別に訂正しなかった。
訂正する間もなく馬車は走り去っていったからだ。
まあ、いいや。
とりあえず今から冒険者ギルドとやらに行ってみよう。
そんでギルドマスターさんに銀色の円形型の移動物体について詳しく聞くのだ。
こうしてあーしは王都へと意気揚々に向かったのだった。
〈ギャル空手家・花ちゃんch〉
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