第19話   ギャル空手家VSギガバーン、天空からの脅威との激闘!

「みんな、あーしがいるから安心して!」


 あーしは叫びながら、〈光気功〉の力を全身に集中させた。


 ギガバーンの巨大な影があーしたちの上に覆いかぶさる。


 その圧倒的な存在感に、捕まっていた人々は恐怖に震えた。


「ギガバーンか……なかなか厄介な相手だわね」


 あーしは冷静に構えながらも、内心では緊張が走っていた。


 ギガバーンの一撃一撃が致命的であることを肌で感じたからだ。


 そう思った直後である。


 ギガバーンは巨大な口を開け、恐ろしい咆哮を響かせた。


 その音が大地を震わせ、空気を切り裂いた。


 直後、ギガバーンは急降下してあーしに向かってくる。


 どうやら1番の脅威があーしだと瞬時に見抜いたらしい。


 だったら、あーしも容赦しないよ!


 あーしは地面を蹴って上空へと跳躍する。


「――〈疾風旋蹴〉!」


 あーしは黄金色の光をまとった足で、ギガバーンの攻撃を迎え撃った。


 しかし、その衝撃は予想以上で、咆哮の圧力のみであーしの身体は真横に吹き飛ばされた。


 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


 口を開けたまま地面へと激突するギガバーン。


 そのときの威力で大地震のような地鳴りが起こった。


 幸いなことに探索者たちは柵の一ヵ所に固まっていたので、直接的な被害こそ出なかったのだが……


 地面に着地したあーしは、素早く行動して探索者たちの前に移動した。


 傍目からはギガバーンと真っ向から対峙している形だ。


 ついでにあーしのドローンも無傷だった。


 遠くの空に移動していて、ズーム機能であーしとギガバーンの成り行きを見守っている。


 まあ、それはいいんだけど。


 あーしは瞬時に身構えた。


 ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


 ギガバーンからの悪意の咆哮。


 それは物理的な衝撃波となって襲いかかってくる。


 「くっ……」


 全身に針を突き刺されたような痛みが走る中、あーしは歯を食いしばって踏ん張った。


 臆するな、あーし。


 あーしが負けたらみんな死んじゃうのよ!


 ダメ、それだけは絶対に許されない!


「負けるかああああああああああああああ」


 あーしも咆哮を上げた。


 同時に〈光気功〉の威力を10倍まで引き上げる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――ッ!


 あーしは小型の太陽のような光を放ち、全力でギガバーンに向かって疾駆する。


 あんな奴とチンタラ闘うわけにはいかない。


 闘うなら早々に決めないと未曽有の被害が出る!


 あーしは一気に間合いを詰めると、ギガバーンの懐に一気に入り込んだ。


 そして――。


「――〈千撃拳〉!」


 あーしは真下からギガバーンの腹に拳を叩き込んでいく。


 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!


「ギョオオオオオオオオオオオオオオオ」


 ギガバーンは悲痛な叫びを上げながら上空へと逃げていく。


 よし、これを待ってた。


 あーしは腰だめに右拳を脇に引いた。


 続いて全身の〈気〉を右拳に一点集中する。


 ギイイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!


 あーしの右拳に集約した〈気〉が限界まで高まった。


 食らえ、この飛行トカゲ!


 「――〈千歩神拳〉!」


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――ッ!


 あーしの右拳から放たれた黄金色の気弾が空気を切り裂き、上空に留まっていたギガバーンに直撃した。


「グギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


 あーしの〈千歩神拳〉を食らったギガバーンは、汚い花火のように木っ端微塵となった。


 あーしはすぐにその場から離れる。


 すると上空からギガバーンの肉片が豪雨のように降り注いできた。


 ふう、危ない危ない。


 あーしは右手の甲で額の汗を拭う。


 これで邪魔者はすべていなくなったはず。


 だったら、あーしがすることは1つ。


 早くみんなの首輪を切って、ワープホールまで守りながら帰還させるのだ。


「さあ、みんなの首輪を切るね……ん? どうしたの?」


 探索者たちはあーしを見て呆然としていた。


 ちなみに、配信を視ていてリスナーも同じリアクションをしていたのは言うまでもない。

 


 

 〈ギャル空手家・花ちゃんch〉


 最大同接数 169万6000人


 チャンネル登録者数 100万9000人






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