第160話 ヨヨは、思わず

「あのねフェアリータ・・・じゃあヒントを出すけど、私がヨワイドにどんな想いを寄せているか、知っている?」

 

 突然の話に、またもやキョトンとする幸。


「・・・ごめんなさい、ヨヨさんがヨワイドの、元婚約者だって事は知っています、ただ、貴女がヨワイドをどう思っているかは、正直解りません」


 ・・・・もう、これははっきりと言うしかない、とヨヨは半ば諦めた。

 こんな事、恥ずかしくて言いたくは無いのだが・・・まあ、ヨワイドと幼馴染でも、何一つ進展しない現状を考えればこれも良い機会だと思い、ヨヨは渋々幸に想いを伝えた。


「あのね、私とヨワイドは、幼馴染で許嫁だけど、心の底から、彼を愛しているわ・・・フェアリータ、それは気付いていたわよね・・・」


 驚きの表情を浮かべる幸、ダメだこりゃ、と思うヨヨ。


「まさか・・・・ヨヨ、君は私の事を・・・」


「いや、まさかって・・・えーっ!、私の方がまさかよ!、なに、あなた、本当に私が幼馴染だから、カウセルマン家に毎日来ていると思っていた訳?」


 ヨヨは、思わず天を仰ぐ。

 ヨヨは今年で30歳、ヨワイドも35歳、この世界の未婚者としては、お互いもう若くはない。

 特に、この世界の婚期は、日本よりかなり早い。

 正直、エレシーですら、今が適齢期と言える年齢だ。

 そんな年齢のヨヨが、何処に嫁ぐでもなく、毎日カウセルマン家に来ているにも関わらず、愛情を向けている事に気付きもしない、ヨワイド・カウセルマン35歳。


「まったく、あなたと30年の付き合いだと言うのに、何なのよ、もう!」


 ヨヨは赤面した。

 これでは乙女の告白ではないか!。

 自分の気持ちに、当然ヨワイドが気付いていると言う前提で、幸に話したと言うのに、ヨワイドに驚かれてしまった。

 そして、少し遅れて赤面する・・・・幸!。

 

 ああ、もう!、本当にやめて!、後から恥ずかしくなるじゃない!。

 

「ごめんなさいヨヨさん、私、なんだか最近、心が一杯で、そう言う事に興味を持てなくなっていたので・・・、で、ヨヨさんのヨワイドへの想いと、エレシーさんの想いって、何か関係があるのですか?」


 ヨヨは思わず手を顔に当て、点を仰ぐ。

 自分の告白まで犠牲にしたと言うのに、この子は一体、何なんだろう、と。


「ああ、もう、だからね、私とエレシーは、同志なの!、同じ人を愛する!」


 幸は最初、ヨヨが何を言わんとしているのかが、さっぱり解らなかった。

 いや、だって、エレシーはヨワイドの、血のつながった兄妹、流石にそれはない・・・・よね?、あれ?


 あれー?!


 ちょ、ちょっと、えっ?、なに?、まさかね・・・そんなの、おかしくない?

 だって、本物の姉弟よね、私とマリトちゃんは、兄妹っぽい他人だったけど、二人は本物・・・・



 えーっ!



 幸は、この決闘の意味を、ようやく理解したのである。

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