第52話 「好きな人」と言われ
「私はラジワット、君たちと同じく剣士をしている、、私たち二人は、この先にあるロンデンベイルの療養所を目指している修行中の魔法使い見習いだ、サナリアさん、あなたと同じだな」
ん?、魔法使い?、、、え?、私、魔法なんて使えないけど、、、なんで?。
幸は激しく動揺した、ラジワットがそう言ってしまえば、自分も自己紹介でそう言う話をしなければならないではないか。
これは困った、そんな話を打ち合わせもなく話すことになるなんて、夢にも思わなかった。
「あの、僕、、、私は、フェアリータと申します、魔法、、の見習い中で、仕事は巫女です、よろしくお願いします」
すると、一同はこの日で一番に驚いた声を挙げた。
なに?、どうして皆さん、そんなに感心されるのですか?
「君は、幼く見えるが、巫女様なのか?」
ワイアットが、思わず驚きの表情を浮かべる。
幸は、何かマズい事を話したのかと思いラジワットの方をゆっくり見上げるが、ラジワットは無表情のままだ。
「はい、一応、そう言うことになっています、、、」
幸はとにかく話を濁そうとしたが、4人の感心は、すっかり幸の方へ移ってしまった。
そこからは質問責めだった、「あのユニホンは、あなたの使い魔なの?」、「どんな秘技を使えるの?」、「あなたとラジワットさんの関係は?」と、矢継ぎ早に。
第一、ラジワットとの関係は、幸が一番知りたい所だ、、、一応、家族ではあるのだが、、、それも現地に着いて、息子さんの肩を叩いてからの話なのだが。
「ユニホンの幼獣は私のペットです、ユキちゃんって言います」
「ところであなた、歳は、おいくつ?」
「はい、14歳です」
そう答えると、女性の二人は「キャー」「かわいい!」と声を挙げて喜んだ。
このパーティは、年齢が若いとは言え、成人した男女のパーティだ、そもそもこんな未成年を連れたパーティなんて珍しく、遭遇する機会は皆無だ。
「ねえねえ、フェアリータちゃんは、好きな人とか、もういるの?」
サナリアが、それはもう楽しそうに幸をいじり倒す。
しかし、幸の方は、「好きな人」と言われ、少し動揺した、そして、うっかりラジワットの方を見てしまったのだ。
「あなた、、、まさか、、、」
「違います!、私、好きな人なんていません、、」
しかし、その複雑な表情から、サナリアとキャサリンは幸の何かを察したようで、再びその話題に触れる事はなかった。
考えてもみれば、ラジワットほどの大人の男性に、14歳の少女が二人で旅をしている意味、それはこの世界では性的な役割を持つ奴隷であることが多い。
なにしろ、ラジワットと幸は、親子と言うにはあまりにも容姿が違いすぎた、そもそも人種が異なる。
それ以降、サナリアが幸を見る目は、とても可哀想と、私が守らなければ、のような複雑な感情を一人向ける事になる。
しかし、同じ女性であっても、キャサリンは幸に対して異なる興味を示しているようだった。
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