第18話 大人の余裕を
「おや、寝室は一つしか準備間に合わなかったのか、それでは、こちらをミユキ、使いなさい」
あれ?、、、、
私、何かとんでもない間違いをしていないか?、と、なんだか急に恥ずかしくなった。
それは、今までの幸の半生を振り返れば単純な話であった。
アパートは基本的に一部屋、お父さんといつも同じ部屋、昨日は山小屋でラジワットと同じ部屋。
当然、これからも同じ部屋でラジワットと寝食を共にするものだと、、、いや、それ以外の選択肢を考えすらしていなかったのだ。
そうだ、考えてもみろ、普通、男女が同じ部屋で過ごすと言うのは、兄妹か親子か夫婦くらで、一般的には別々に寝るものなの、、、らしい。
夫婦、、、、、
そして、この家には、部屋が3つ、、、、あれ?、十分に別の部屋で寝れるなー、、、と。
「すいません、私、ちょっと、こう言うの、慣れていなくて、、、てっきり、ラジワットさんと同じ部屋で寝るのかと、、、」
ああ、もう、本当に恥ずかしい、女の私から、同じ部屋で寝て欲しい、みたいに聞こえてないかしら!。
ちょっと考えれば解りそうなものなのに!、、、でも、掃除は一部屋だけ、さすがに今から掃除って訳にもいかないし、、
「あの、ラジワットさん、あなたが嫌でなければ、今日は同じお部屋で寝ませんか?」
、、、あれー?、、、私、火に油を注いでる?、、、いや、油に火を注いだっぽい発言、
どうした私!、
ちょっと、これじゃあ、ラジワットさんを誘っているみたいじゃない!。
、、、、誘う女、幸。
あー、もう、なんですか、それは!、、恥ずかしいー!
「ミユキがそれで良いのら私は構わないが、ベッドは君が使いなさい」
「いえ、ダメです!、ラジワットさんはベッドに入ってください!」
、、、、んんんー!、
違う、そうじゃない、、、またやってしまった!、
これじゃあ、
ベッドに誘う女、幸、
になっちゃうじゃない!
ラジワットは、可笑しくて笑いを堪えるのが精一杯のようだった。
、、、なんだか、女の扱い、慣れてないか?、こういうシチュエーション、沢山経験しているのかな?、、、。
幸は、大人の余裕を見せるラジワットを見て、なんだか胸が苦しくなった。
巫女の条件を考えれば、自身はラジワットと、そう言う行為に至らない事は解ってはいる。
しかし、命綱をしていたって、高い所は怖いし、怖いものは怖いのだ。
そして、恥ずかしいものは、恥ずかしい、、、、のだ。
とりあえず、紳士なラジワットの言葉に甘えて、今日だけはベッドを使わせてもらうこととした。
そうか、明日からは別々の部屋か、と、幸は少し寂しいと感じた。
、、、寂しい?、私、寂しいって感じているの?
幸は、自身に芽生えた感情に、整理がつかないでいた。
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