転生したら英雄になれるのだろうか
Umi
第0話 英雄になりたかった男
俺は赤ん坊の頃から英雄になるのを夢見ていた。
赤ん坊の頃から幼少期にかけて見ていたアンパンヒーローに始まり、学生の頃にハマった僕の英雄教室、大人になって良さが分かった海外映画のヒーローズシリーズに出てくる英雄たちに憧れていた。
本当は分かっている。こんな平和に満ちた世界で英雄など生まれるわけないことなど。そもそも俺が英雄たる器ではないことも、しかし憧れるだけならいいじゃないか。
どうして両親は夢見るのはやめて大学に行けと言うんだ。大学には行くつもりだった。でも夢を捨てなくていいじゃないか。夢見るだけならタダのはずだろ。
どうして教員や教授は俺の夢を否定するんだ。叶えられる訳ないことを一番分かっているのは俺だ。でもどうして夢を完全否定するんだ。受験だって内定だってしっかり取ったのにわざわざ夢を否定する必要ないだろ。
どうして上司は俺の私生活に文句を言うんだ。私生活で何してようと干渉してくる権利はないはずだろ。
俺が人生の最期を迎える時、こんな悲しい考えばかりが走馬灯として頭の中を巡っていた。
確かに怨みばかり考えていた人生だったが、もっと楽しい人生だったはずなんだ。
両親は高い学費を払って俺を大学まで通わせてくれたし、学生生活も充実していた。職場だって上司は親切にしてくれたし、後輩は慕ってくれた。
でもいいじゃないか。最期くらいは夢を見たって。
俺の意識は完全に暗闇の中へと消えていった。
『貴方の夢を叶えてあげましょう……』
そんな声が聞こえたような気がしたが、気の所為だろう。
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