突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
@momo_gabu
第1章 ここが異世界
第1話 どうして?
俺、
何故だか気が付けば、見も知らぬ草原に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニにいたのだが、そのコンビニから一歩踏み出したところが、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
涎を垂らしながら俺に向かって、にじり寄ってくる三体を警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はない。持っているのさっきコンビニで買った袋だけで、その中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
「え! まさかの迷子扱い……いや、そこじゃない!」と俺は『空間魔法』に注目する。
「まさかの魔法かよ。でも、空間魔法ってどうすれば『gya!』……うわっ!」
そんなことを考えている内にいつの間にか詰め寄られていたのか、一体が棍棒を振り上げて襲ってきたのをなんとか躱すが、他の二体も棍棒を振り上げ襲ってくる気満々だ。
「くそっ! どうすれば……ん? 待てよ。空間魔法が使えるんだよな、なら……」
『gya!』
「来た! 『
「ん?」
『gya?』
『『gyagyagya!』』
そんな様子に俺だけでなく襲ってきたアイツも不思議そうに自分が持つ棍棒を眺めている。
そして、そんな俺達を残り二体が指差して笑っているのが見えた。
「ま、なんにしても上手くいったんだよな?」
『gah!』
『ゴン!』
『guegegege!』
『ゴンゴン!』
『『『……』』』
思い付きだったが『
『『『ゴンゴン!』』』
「うるさいなぁ……こっちは考えているんだから、静かにしろよ!」
『『『gyaha!』』』
俺は偶然出来た『
「なら、ここからどうするかだよなぁ~攻撃するなり、なんなりして、コイツら……多分、ゴブリンだよな。コイツらをどうにか排除しないことにはどうしようもないよな~ん?」
俺は魔法も使えることを確認し、ステータスも見ることが出来たことから、やっぱり異世界なんだと改めて実感する。そうすると、目の前でgyaaaと騒いでいる緑色の醜悪なコイツらはゴブリンなんだろうなとジッと見れば、その中の一体と目が合うが、ソイツはポッと頬を染め俺の目を逸らす。
「何故、照れる? あ!」
何故か目を逸らされた俺は、不思議に思いさっきからチラチラとソイツらの小汚い腰布から見え隠れするブツが確認出来るが、頬を染めたアイツにはなかった。
「って、メスなのかよ! ってか、食おうとしているヤツに見られて頬を染めるなよ! いや、待てよ。もしかして……」
俺はある仮説を思いつき思わずゾッと身震いする。
「俺の初めては、せめて人がいい!」
『gahhhhh!』
そんな俺の呟きが何を意味するのか理解したのか、(多分)雌のゴブリンが猛り狂った様に棍棒を『
「おぉ! 怒っているな。でもな、コレばっかりは譲れない! いや、異世界ならモフモフな獣人のお姉さんでもいいし、なんならエロフでもいいなぁ~」
『gyahhhhhhhh!』
「だから、お断りだって。頼むから帰ってくれないかな……無駄な希望だよな……あ!」
なんとか『
「空間魔法と言うのなら、アレが出来るかもしれない」と。
「先ずはちゃんとイメージだよな。試しにアイツから……」
ゴブリン達は相も変わらず棍棒を降り続けているので、目標を固定するのは難しくない。俺はその中の一体を凝視すると『斬!』と呟けば、棍棒を振り上げたゴブリンは上下に分かれ『ゴトン』という音と共に上半身が土の上に落ちる。
「おぉ! 成功した……けど、グロいな。なら、『圧縮!』」
二つに分かれたゴブリンの体をそれぞれ圧縮し、一立方センチメートルほどの物体に変えると『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます