黙れば、可愛い旨み御嬢

第1話黙れば、可愛い旨み御嬢

第1話黙れば可愛い、旨み御嬢


人には得意、不得意がある。


我ら、詩柄未しがらみ組みには、不得意があった。


「御嬢!また、そんなトコ登って!電柱の上で立ったら危ないですぜ?」


「なぁ、組みではこのキレイな地球を汚す仕事してるんだよな?」


「まぁ、ただ詩柄未組みは野犬共とは違う、所謂流儀がある。義理堅いもんには頭は上げず、悪を時には裁く裏の英雄ッス、世間はあまりに汚れてしまってるんだよ。御嬢は産まれて日が浅いから感じない底しれない闇が世界を包んでる。俺等詩柄未組みも闇の中かもしれねーが闇にも闇の感謝がある…つまり御嬢が周りに言われてるような闇組みじゃねーのさ、分かったか?」


「ふーん、よく分からないな。周りは煙たく私等を見てる。そいつ等が泣く事になっても笑ってやる。…ただ、地球の汚れは見過ごせないね。徳田見えるか?あそこにナンパにしつこい相手とナンパされてる若い女、一般的じゃナンパ男を避難するだろうがアレは女も悪い」


「確かに男が気の毒だ。」


「ドコに目ついてんだろうな?見せたがりはあの女だ。ナンパされたいからだろ?何が虚しくて自分を台無しにするんだか、」


「まぁ、あのお嬢さんも可哀想な過去でもあったんだろ?健気にしっぽ振ってちゃ別のもん振られらな?」


「どうする?」


「助けるんですか?」


「惨めな女でも選ぶ権利はあらぁ」


そうして私、詩柄未杏里しがらみあんりは、ジャンプで下に落下する。


「杏里の御嬢〜、死なない程度に頼みまさぁ〜」


徳田に手を振りながら近づく


「っもう!しつこい!なんで私がアンタとホテルに行かなきゃならないのよ!」


「あそこのバイキング美味いんだー?1人じゃアレだろ?一緒に来てくれたら三千円ランチ奢るからさぁ?なぁー」


「はぁ!?私の価値が三千円?!ざけんな!」


「三千円はちと、安くねーか?旦那?」


「あ?」


振り向きざま裏拳をかます


男は泡吹いて伸びていた。


「あ、ありがとう…ございます」


「ねぇちゃん、服にフケついてんで?家に一旦返りんしゃい」


「はぁ?!」


「そんな不潔な姿身してたら襲って下さい言うもんじゃお帰り成すって?」


「何なの今日!最悪、帰る!」


「ねぇちゃんにはもっとお淑やかな格好のが似合うと想うで?まぁ考えとき?」


「ッ!ホント最悪!」


「帰るんじゃないんか?」


「さよなら」


「また縁があったらのー」


「二度と会うか!」


お姉さんは帰って行った。


翌日、お姉さんから改めてお礼の手紙と写真がついて来た。


「だから言うたやろ?お淑やかな格好のが似合うって」


一方、1日見当たらない徳田を探していた杏里はある場所と目が合う。


そこには、子鹿の様に電柱に掴まってる徳田の姿、


「毎回なんじゃが、徳田、お前高いとこ平気な筈やろ?なして降りれん?」


「登るとか高いとこは平気なんっす!早く降ろして下さい!」


「それが人に頼む態度かのー?」


「もう、手もげそう!早くいか…」


「言わせん、落ちんしゃい」


軽く足を引っ張ると落下して行く徳田


「全治何ヶ月になるかのー?」


ほくそ笑む詩柄未杏里でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黙れば、可愛い旨み御嬢 @kai00105

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る