第弐話 ロマンあるよね☆天体観測


「今夜天体観測、行くぞ。17番」

「おい、待て。16番」

「何だよ」

「お前、その恰好で行くのか?」

「そうだけど」


「16、リンゴのイラストのTシャツはやめとけって言っただろ」

「え~なんで?」

「なんでもだ。水玉のTシャツで行け。学校でも言われてるだろ、天体観測は絶対に水玉の柄で行けって」

「え~、でも俺はリンゴTが好きなんだけど」

「うるせぇ。水玉柄が絶対なんだよ」

「わかったよ。じゃあ、水玉パーカーで行くよ」



***



 深夜の静かな原っぱに来た。夜空を見上げる。


「おお、満点の星空だ、綺麗」

「そうだな、16」

「俺らが星を見てるんだけどさ、逆に、あの星たちも俺らを見てると思ったら、なんかロマンあるよね」

「……恐ろしいこと言うなよ」


 急に雨が降って来た。

 二人で傘を差す。

 俺はパーカーを脱いだ。


「な!? 16、パーカーの下、リンゴTじゃねえか」

「え~、いいじゃん。今、誰も見てないんだから」

「お前な。どうなっても知らねえぞ」

「雨が上がったら、またパーカー着るからさ」

「……毒と猫」

「やめろよ。今、そんな話すんなって」


 雨がやんだ。

 俺がパーカーを着ようとした時、突風が吹いた。

 傘とパーカーを風が攫った。


「あ」


 巨大なかげが落ちてきて、見上げると

 巨大な目玉が俺を見ていた。


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