まひるの遊泳


わたし、ぎょっとした。

紙面の白さにくらべ、

あまり顔色が良くなかったんだ、

世界は。


まひるには、頁からことばたちが浮遊する。

気持ちよさげに泳ぐ宙を、

耳の下らへんにあるえらで吸い込むんだ。

飽和したひかりのなかで、

ことばは自重でしずみゆくけど、

吸い込まれたものたちは

わたしの胸で反芻して、

しきりにろっ骨を鳴らせていた。


心臓は冷めていくんだ。

ひるのひかりに曝されて、

世界はくちびるを青くさせた。

開放系の血管に

ことばが詰まって、

そうしてわたしのひれびれは、

押し花にされたんだ。


真白な紙面に磔にされた

体躯を、

青すぎる眼差しで

誰かが見つめていた。

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