第9話 番外編 1993年ロンドン再訪その2 GARDEN LODGE
※前回、昔書いた文章を再現してみたと言いましたが、今回の部分はどうしても感情が高まってしまうので、今の気持ちも混ざったものになっているかもしれません。
フレディの家に行く前に、1ヶ所だけ寄るところがある。ファンクラブから歩いてすぐのところにある、MERCURY ANTIQUESである。もちろんアンティークを買うのではない。
フレディがここで買い物をしたかどうかはわからないが、ブライアンがこの店の前で撮った写真が雑誌に載っていた。なのでここもQUEENの聖地である。私も店の前で写真を撮ってもらう。
地下鉄でフレディの家、GARDEN LODGEに向かう。
1 LOGAN PLACE 、やっと私はここに立った。フレディの城であり、最期の地。
この家の写真を、どれだけ雑誌で見たであろうか。世界中からファンが集まり、花を供え、メッセージを扉や壁に書き込んでいる。
そんな様子を見て、早く自分もここに立ちたいと思っていた。フレディはもうここにはいない。しかし、ここにいたということだけで十分である。
まずは緑色の扉の前に立つ。足元には薔薇の花が何本か手向けられており、扉いっぱいに、フレディへのメッセージが書き込まれている。(注:まさか30年後にこの扉がオークションにかけられるとは思ってもいなかった。)
THANK YOU FREDDIE
LET US CLING TOGETHER
FREDDIE LOVE OF MY LIFE
FREDDIE IST DER GROSSTE(フレディは偉大だ:ドイツ語)
クイーンは永遠に
他にも来ていた方がいたので、扉の前で写真を撮ってもらう。
レンガ積み(もしくはレンガ風タイル?)の壁にも、メッセージがずらりと書き込まれている。メッセージを読みながら、壁に沿って歩く。いろんな国からファンが訪れていることがわかる。
GOOD BY MR BAD GUY
SEE YOU SOON FREDDIE
POLAND LOVES YOU FREDDIE
你永在我心
フレさま♡は私の心の中にいつまでも
壁から少し離れ、母屋を見上げる。最晩年、フレディは何を思いながらここで過ごしていたのかと、思いを馳せる。
そんなとき、「事件」は起こった。時刻は15時5分。
通用口から、ベビーカートを押した女性が出てきた。写真で見覚えがある。まぎれもないメアリー・オースチンだ。
もちろん、声をかけようとは思わない。
カメラのシャッターを切ろうとも思わない。
歩き去る彼女の後ろ姿を、私はただただ見つめていた。
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