第39話 ノア:第5世界:ポペンとスライム除去
「俺はゴンの町からお前に会いに来たんだ。その速度じゃ着くのに時間がかかるだろう?俺が連れて行ってやる」
「えっ!本当ポペか!?助かるポペ!」
そう言うと、ポペン族は俺の足をよじのぼり肩まで昇って来た。
こう見るとかわ……いいか?ちょっと不気味な気もするが、見方によっては可愛いかもしれない。
さて、ゴンの町の避難所に向かうのだが……1回行った場所ならわざわざ飛んで行かなくて良い。
【特殊技能】の[転移]の技能がある。
[転移]
行ったことのある場所、目視したことのある場所へ瞬時に移動する。
物に触れている状態で一緒に持って行くと念じることで物も一緒に転移できる。
特に指定が無ければ身に着けている服や装飾品は勝手に一緒に転移される。
ゲートをその場に創造して設置し、そこを通った物を対となるゲートへ転移させることもできる。
ゴンの町には誰もいなかったから、直接飛んでも問題無いな。
ゴンの町に指定、転移!
シュンッと景色が切り替わった。
「着いたぞ。ゴンの町だ」
「つい……えっ!?ついたポペか!?」
ポペン族は驚いて辺りを見回していたが、何やら納得して頷いていた。
「テレポートの巻物か杖を使ってくれたポペな。助かったポペン!ありがとな、人間!」
ポペンは俺の肩から降りると、腰に下げていた袋に手を突っ込んだ。
すると、明らかにその大きさの袋からは出てこないだろみたいな大きなタンクが出てきた。
ポペンはそれを背負い、除草剤を撒くやつみたいな機材を装着した。
……まさかそれでチマチマとスライムを除去する薬を撒くのか?
待てよ、こいつ1人であの規模を対処するのか?
この世界に来た初日に上空を飛んでたが、かなりの範囲がピンクまみれだったぞ。
「待て、お前1人だけか?仲間はいないのか?」
そう聞いてみると、ポペンはがっくりと項垂れてしまった。
「仲間は……みんな寄生型スライムにやられたポペ」
ポペンは話しながら歩き出した。
前回の作業後、とある1人のポペン族の手足が寄生型スライムに侵食されていることが発覚した。
どうやら作業用スーツが破損しており、そこから侵入されたようだった。
ポペン族たちはイブレアギルドで1つの部屋に押し込まれていたため、スライムの侵入が発覚した時には全員の体に寄生されていた。
周囲への侵食を恐れたイブレアギルドはポペン族たちを全員焼却した。
その時偶然除去剤の材料を採りに遠出していたこの個体だけは助かり、ポペン族たちの死体やその部屋にスライム除去剤を撒いたのもこの個体だった。
たった1体だけ残されたこの個体は全滅を恐れたイブレアギルドに監禁され、仕事ができない状況になっていた。
しかしゴンの町が寄生型スライムの脅威に晒されていると聞き、居ても立っても居られなかった。
そうして使命感に駆られ、脱け出して来たのだと言う。
「さて、ここから先は特殊加工されたスーツがないと危険だポペ。人間、連れて来てくれてありがとう」
そいつは死地に向かう兵士のようだった。
「この範囲をお前1人でやるのは無茶だぞ?俺も手伝おう」
「気持ちはありがたいポペが、そもそもこのスーツがないとスライムに寄生されて終わりポペ」
「まあ、見てな」
[万能創造]を起動。
『寄生型スライムを除去できる薬剤が入ったタンクとシャワー』を巨大に創造。
出現!
突然宙に現れたそれを見てポペンが飛び上がった。
「な、何ポペ!?」
[スキル付与]で【念動力】を付与。
そしてそのスキルでシャワーを動かして……宙から大地へ薬剤を散布した。
すると、散布された箇所からみるみるうちにスライムが溶けていく。
これでも時間がかかりそうだが、地道にやるしかないな。
ポペンはぽけっと俺を見ていたが、やがて動き出しスライムの除去を始めた。
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