#2 人生二度目の高校入学式
校門を抜けると、すぐさま教員に体育館にまで案内された。二度目の入学式はなんか新鮮で、長い校長の話などは苦に感じなかった。
前世では、真斗と一輝以外とは全然仲良くなかったので、それ以外の人とは話しにくい。
とりあえずそのまま話を聞いてると、新高校一年生代表の挨拶に入った。
「えーでは新高校一年生の挨拶です。
「はい!」
元気のいい声で返事をしたのは、茶髪ロングヘアーの美少女、大田結菜だった。風が彼女の長い髪を揺らす。前世では少し話したくらいでそこまで仲良くはなかったはず。
彼女はそのまま挨拶を終えて、席に戻った。
その席が隣だった。オとカだから隣でも不思議はないのだが、彼女の香水の匂いが鼻にきて、意識してしまう。
俺が見ていたからか、彼女が俺に話しかけてきた。
「あれ、あなたはもしかして?」
「どうかした?」
「いや見かけない顔だったから......」
「あ俺高入だからさ」
変に思われないように、言葉を返す。
「そうなんだ。これからよろしくね」
「ああ」
それから程なくして入学式は終了した。
そして俺は、一輝と再会した。笑っている彼を見て、こんな優しい友人を助けられなかった自分の情けなさが滲み出る。
「一輝……。よかった」
俺は気づいたら、一輝の肩に手を置いていた。彼は驚いた顔をして、こっちを見てくる。
「怜遠? 急にどうしたの!?」
人がいい彼は、俺のことをすぐに心配してきてくれたものの、俺を不思議そうな目で見てきていた。俺は変に思わせないように『何でもないよ』と言って、手を離した。今回はもう二度と会えないと思っていた人に再会できた喜びで変な行動をとってしまったが、側から見れば、変な人だと思われるので、しっかり考えて行動しよう。
それから真斗とも合流して、教室まで一緒に歩く。
「クラス一緒でよかったな」
「ああそうだな」
高一は全員同じクラスだった。それもこの前とは変わらない。やはり同じことが起きている。まあ高一の俺の行動次第で、それ以降の未来は変わるだろうけど。
「あーあかったるいな。お前もそう思うだろ怜遠?」
「ああそうだな。眠かった」
「まあまあ、二人ともこれから入る学校についてのことなんだからちゃんと聞こうよ」
真面目な一輝は俺ら二人のやる気なさそうな態度を宥める。
「なあ、この学校やっぱり女子率高いな! オレこの学校にしてよかったわ!」
女子好きな真斗は早速不純なことを考えているようだ。まあ俺も興味がないわけではないが。
「まあ、俺はそれよりも私立なのに土日休みなところに惹かれたんだけどな」
「嘘つけどうせお前もオレと同じで女子率が高いからここにしたんだろ」
「俺は断じてそのような理由でここにしたわけではない」
じゃれ合う俺らとその横で笑ってる一輝。側から見ればただのバカにしか見えないだろう。
ただ俺からしてみれば、一つの思い出だった。
教室に着くとまだ先生は来てなくて、みんな自由に過ごしていた。今回はこの前みたいな陰気さを無くし、社交的になろうと思う。
この高校は中高一貫校だが、クラスの三割は高校入学組が入る仕組みになっている。その上、一年前から共学になったのでこのクラスに男子が俺ら三人を除いて七人しかいない。レベルは六十超えなので入るのは結構困難だった。
俺と一輝はいけるラインだったが、真斗が偏差値が足りなくて、最後繰り上げで受かったのだ。校舎は綺麗で、進学実績も高いので、倍率が高かったせいでもある。
「ねえ」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「君は、さっき隣で話しかけてきた大田さん?」
「そう。席が後ろだから改めて挨拶しておきたくて......」
彼女は恥ずかしそうにしながらこちらを見ている。この前もこのような感じに話しかけられた覚えがある。
「そういうことね。俺は神里怜遠。よろしく」
「私は大田結菜、よろしくね」
大田さんと自己紹介をし終えた後、再び二人が俺の席までやってきた。真斗はニヤニヤしながら話しかけけてくる。
「なあ。このクラスの女子のレベル高くね? 怜遠、一輝、誰が好みだ?」
まずこのような会話をするのもあまり良くないと思うが、その上、声が大きいので、周りの女子たちがこちらを睨んできた。俺は少しここに居づらくなった。
「お前はもう少し声のボリューム下げれないか?」
「別に聞かれてもいいだろ」
「俺までそういう目で見られるのが困るんだよ」
「厳しいなあ〜」
コイツは入学早々女子にしか目がないのかよ全く。まあそういうところも面白いんだけどな真斗コイツは。
どのような会話をしたかまでは覚えてないが、戻ってる以上出来事は一緒だ。そしてこの後、驚愕するようなことか起きる。
「ねえ結菜、新入生挨拶良かったわよ」
「ありがとう。そういえば後ろの神里くんと話してみたよ〜。優しそうな人だった」
なんか俺の会話が耳に入ってくる。
「ふーん。ねえ君」
「え俺?」
キョトンとした顔の俺にその子は話しかけてくる。
「怜遠は結局この高校にしたのね」
この子は俺の幼馴染だったのだ。名前は
前回は、挨拶で終わってしまった。
「ああ。まあいけそうなところで楽しそうな学校だからここを選んだんだ」
「アンタに二人も仲良さそうな友達できるなんてね。小学生の時友達全然いなかったでしょ?」
「何? 心配してくれてたの?」
「別に心配してないし」
変わってないな。そういうツンデレなところ。
少し高校で社交的になるだけで交流が増えることに気がついた。ただ、悪目立ちはしたくはないので、変な目で見られないようには注意しようと思う。
「何々? この子お前の知り合い? オレは田中真斗! よろしくな」
「怜遠の友人の森一輝です。よろしくお願いします」
莉果に対して興奮状態な猿真斗と真面目に自己紹介する一輝......。対照的すぎるだろ。
「よ、よろしく......」
「あはは......。私は大田結菜。田中くん、森くん、そして神里くん、よろしくね」
真斗の迫力に押し負けそうな莉果と、それをみて苦笑いしてる大田さん。この二人も対照的なのにどういう経緯で仲良くなったのだろうか。
「はいみんな席に座れ」
このクラスの教師が入ってきた。普通にこの先生いい人だったんだよな
「このクラスを担当する
男勝りなところも悪くない。
「まあ今日はプリントと教科書を配ってお終いだ。高校入学組との自己紹介とかは明日時間設ける」
「センセー、今年は何人入ったんですか〜? それと男子は何人くらい?」
「学年全体人数百二十人のうち、高校入学生は、四クラスで一クラスに十二、三人ずつ、男子はこのクラスともう一つのクラスは十人、それ以外のクラスには九人ずつだな」
「マジ? このクラス結構当たりじゃーん」
「敬語を使え
「はーい」
関根と呼ばれた生徒は、怠そうながらも頷いた。てか俺この生徒、知らねえ。いくらなんでもクラスに興味なさすぎだったな。
「もー
「そうだ
柴田と呼ばれた生徒は、関根さんを注意した。
そして授業で使う教科書、学校の案内などが載ってるプリントが配られて、解散となった。
その後顔が知れてる中学入学組はみんなでご飯に行ったり、親とどっかに行ったりしていたが、両親共働きの俺は行くことができない。
「お前ら帰るよね?」
「え? 折角だし三人でどこか食べに行かない?」
「まあいいけど。一輝はどう?」
「僕もいけるよ」
三人とも行けることになったので、駅前の店で食べることとなった。
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