ごのつくひ
ごのつくひ
男にはとあるジンクスがある。
それは五の付く日はだいたい悪い日という事だ。
なら、五月は毎日悪い日なのか、そう言われれば男にとってはそうだ。
男にとっては五月が一年で一番大変な時期だ。
ゴールデンウィークは急な仕事で潰れ、それで体調を崩して寝込んで振り替え休日を潰す。
復帰するも、溜まった仕事で残業続きでまた体調を崩す。
乗っている自転車はパンクするし、事務所の椅子は背もたれが折れる。
大事なデータが入っているパソコンは起動しなくなるし、隣の空き部屋と間違われて水と電気を止められもした。
お届け物も配達先を間違われ、便所は詰まり、仕事ではミスを連発し、まともに寝れていないような状況だった。
そこで男の上司がお祓いを薦める。
久しぶりにゆっくりと休める休日だったのに、男は上司と神社でお祓いをするために呼び出された。
もちろんお祓い代は男の自腹だ。
お祓いを追え、家に帰って来た男は驚いた。
家が荒らされている。
泥棒に入られたのだ。
男は慌てて警察に電話する。
無論、休日の残りも、男はその対応に費やさなければならなかった。
休みたいと、思いつつも週明けに会社に行くと、お祓いしたのだから、と上司に大量に仕事を振られた。
振られた仕事もどれもこれも厄介な案件だけに、男は苦虫を噛み潰したような顔をする。
男は夜遅く家に帰り、深いため息を吐く。
ふと、神社で貰ったお札を貼り忘れていたことに気づく。
せっかく貰って来たのだからと、家のどこかにお札を張ろうとする。
いい場所がないので、男はとりあえず自分の額に張ってみた。
なんだか妙に落ち着く気がする。
男はそのまま眠り着く。
その夜は久しぶりにぐっすりと寝れた気がする。
翌朝の事だ。
冗談で額に張ったお札が、焦げた様に黒くなっていた。
男は流石に、これは尋常じゃないとと思い、半休を取り、上司と行った神社に行き、そのお札を神主に見せる。
神主は驚いた顔をして、首を横に振った。
一応、新しいお札はまたもらえたが、もう額には着けないでください、とだけ言われた。
男は黒くなったお札を神社に置いて来た。
その後、半休だったので男は会社に出る。
なんで急に休んだ、と上司に言われたので、男は黒くなったお札の画像を上司に見せる。
上司も驚いた顔をする。
そして、上司は言った。
もう六月だぞ、五の付く日とか関係ないじゃないかと。
男はただ運が悪いだけだった。
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