かっぱ
かっぱ
少年達は子供の頃、川で河童を見た。
まだ開発されていない森。
けれども、森のすぐそばには大きなマンション群が建てられているような、そんな自然と人との境の場所。
そこに流れる小さな川。
いや、正確には排水用の水路だったかもしれない。
あまり綺麗な川ではなく、流れる水も緑色で臭いも酷い川だ。
そんな川で少年達は河童を見た。
夕暮れの時間、森で友人らと遊んでいて少年達は、その川に浸かっているいる存在を目にする。
少年達はそれを見て河童だと思ったのには理由がある。
少年の友人の一人が、河童だ、とそう叫んだからだ。
それで少年らはそれを河童だと思い込んだのだ。
実際にそれが河童だったのかどうか、少年たちは知る由もない。
それを見たのは最初で最後だったからだ。
それは川に半身を浸かっていた。
あまり綺麗な川ではないため、河童の下半身がどうなっていたかはわからない。
上半身は裸だ。
河童なので当たり前だ。
少年達の曖昧な記憶では頭の上に皿はなかった。
いや、皿はあったと言う者も居る。
少年らの記憶は曖昧だ。
なぜなら少年らは河童を見るとすぐに逃げ出したからだ。
とりあえず口は嘴にはなっていなかった、と言うのは全員そう言っている。
そして、河童は最初笑顔だったそうだ。
でも、それだけだ。
この話はそれで終わる。
あと一つだけ、付け加えるなら、近所の幼い子供が一人行方不明になったという話だ。
河童の仕業かもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます