はな
はな
家の花壇に見たこともない花が咲いた。
きれいなのだが、どこか人の顔に見える花だ。
花の形が、と言うより花の模様が人に見える。
少女はそれを大事に世話をした。
両親からは気味悪いから抜いてしまえ、と言われたが、少女はそれを無視しその花に語り掛け、大事に世話をしたのだ。
花が咲いて一週間が過ぎた。
元々はパンジーを植えていた花壇だったのだが、それらの花はすべて枯れてしまった。
人の顔のような模様の奇妙な、それこそ見たことのない花だけが、枯れずに一本だけ花を咲かせている。
少女の両親もこれはあまり良くない花だと確信し、少女の了承を得ずに、少女が小学校へ行っている間に抜いてしまった。
その花を抜いた少女の母親は驚いた。
その花には球根のようなものがあり、それも人の顔をしているのだ。
もちろん、精巧な人の顔をしているわけではない。
ぱっと見で人の顔に見える程度のものだが薄気味悪いことだけは確かだ。
母親はそれを捨てた。
するとしばらくすると何も埋めてないのに、花壇に二つの芽が出てきて、それが育つと人の顔のような模様の花になった。
少女は喜んだが、母親は怖がり父親と相談して花壇自体を潰してしまった。
その際、二本の花の花は鉢植えに植え替えられ、お寺に持って行った。
それ以来、少女に家にその花が生えてくることはなくなった。
ただ寺に持って行った花は三年たっても枯れず、まだ花を咲き続かせているという。
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