第34話 お湯マニアの「説明マシンガン」攻撃!!
「え? クビですか??? どうしてです?」
「そりゃあ決まっているよ! お前なぁ……セントウに通いすぎてまともにパーティーと行動していないからだよ! ……はぁったく……」
後ろを振り向くと、イアさんと黒髪の人が言い争いをしていた。周りにいるパーティーの人たちは呆れた顔でイアさんを見つめている。
「銭湯は素晴らしいとこです! 行かないわけにはいきません!」
「その行動でパーティー中が困るんだから少しは行く頻度を押さえろ! せめて1か月に1度にしてくれ!」
「そんなことはできません! これ以上温泉の悪口を言うのなら一度温泉に入ってもらいます!」
……ゑ?
「おい! なんでそんな風になるんだよ! あと連れて行く暇あるならさっさと温泉ではなくダンジョンに行くぞ!」
「なら銭湯の近くにダンジョンがあるのでそこに行きましょう!」
なるほど……そうやって言いくるめるのか。そして帰るときに連れて行くんだろうな~。
そしてそのまま口喧嘩しながらダンジョンを攻略しに行った……。口喧嘩するかダンジョン行くかどっちかにしてー?
「……ユイ……温泉がんばれよ」
ギルド長がパーティー喧嘩を見て、私が大変な日になるを察したのか応援してくる。
「はい……今日はちょっと本気出します!」
いそいでマギライアに伝えに行く。……忘れないかどうかは別だけど!
その後しっかりコーギー×17+ルーちゃん+フェンリル+モンブランのブラッシングとかでド忘れしていました……っていうかルーちゃんはメインクーンだから結構ブラッシングが大変なんだよー! フェンリルとモンブランも……このビッグ三銃士、どうにかならないかな……2時間かかったし……って今思い出したからマギライアに伝えないといけないじゃん! 時間的にそろそろ開店か。
開店作業をしながらマギライアに伝える。マギライアは結構面白そうだなぁというような顔だった。
「へー! じゃあ今日来るかもしれないってかn……」
「こんにちは。今日はパーティーの人たちを連れてきましたよ」
……マギライアが話し終わるタイミングでイアさんが私たちに挨拶をしながら後ろの人たちを見せてくる。……来たな!
「いらっしゃいませ! あ! イアさんこんにちは! そういえばちょっと報告したい事があって……」
「? 報告したいことって何かしら?」
イアさんからしてパーティーの人たちの紹介より報告の方が優先だったらしい。後ろでは服装からして魔法使・剣士・ヒーラーの人が銭湯内をきょろきょろと見渡していた。そしてさらにその後ろでは黒髪の人が頭を抱えている。
「それがですね……一か月後に銭湯が有料になることになっちゃったんですよ……」
イアさんには本当に申し訳ない……。今度常連割とか考えた方がいいかな?
「そ……そんな……。ちなみに銀貨いくらになるんですか?」
絶望した表情で訪ねてくる。うー……本当に申し訳ない……。
「……銅貨3枚です」
「「「「ブッフォw」」」」
後ろで4人組が吹きだす。イアさんはそれを気にせずに胸に手を当てて安心した表情になった。
「よかった……銅貨3枚なら通えるわ~!」
「ならよかったですー。高すぎずでも今後来る人のアルバイト代を出せるくらいの入場料を考えたらそのくらいだったのでー」
「あるばいと?」
おっと? アルバイトっていう言葉は世間的に知らされていないのかー。
「あー……簡単に言えば依頼のことです。私がいたところでは『アルバイト』と言われていたんですよ」
「そうなのね。面白い言い方」
などと話していると、黒髪の男の人が少しイラついた気がしたのでいったん話を中断する。
「……とりあえず温泉についての説明を行いますね」
イアさんが「待っていました」という顔になる。それ以外の4人は校長先生の演説を聞く前の絶望顔になった。
「まず、この銭湯には7種類の温泉があって、それぞれ効果が違います」
「「「「「……」」」」」
「まず炭酸泉について説明します。ここの炭酸泉は少し特殊で、二酸化炭素泉の効果も見受けられます。特徴は体が温まりやすい温泉で、炭酸水のようにシュワシュワしているので見分けがつきやすいです。地下にガスがたまっているところにしか作れなくなっていて、(人工を除く)炭酸ガスは皮膚から吸収されて血管を拡張す……」
「「「「長い長い!」」」」
4人組が止めてきたので話が止まる。おっと……お湯マニアの症状が……。イアさんは話が止まったので少し不機嫌な顔になった。
「えーと……ざっくり話しててしまえば、腰痛・肩こり・打ち身・くじきが和らいで弱酸性のアストリジェント効果(タンパク質を変性させることにより組織や血管を縮める作用の事)があるのと、心拍数を上げずに血液の循環が良くなった結果、血圧を下げる作用。さらに保湿性が高く、リラックス効果がある感じです」
イアさんがニコッとする。よっぽど聞きたかったのかな? 他4人は「最初っからそれでよかったのに……」と言っている様子が伺えた。
「次に、含鉄泉です。保湿効果が高いため、体の芯から温まって冷えを改善する効果があります。そのほかには血行促進作用が……」
「「「「長い長い!」」」」
と早めに止められてしまったので、
「え? さっきよりは短い方ですよ?」
と思わず言ってしまった。っていうか「長い長い」二度目……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます