月極 題材「月」
今日。私は娘の
日菜は私と手をつなぎ、元気に歌を口ずさんでいる。
「出た出た。月が〜」
私は何故、日菜がこの歌を唄っているやか不思議だった。
「まあるい、まあるい」
日菜は歌い続ける。私はそれを微笑ましく聞いていた。日菜は私と繋いでいない反対側の手をブラブラとさせる。
駐車場を通り過ぎる際、日菜が「あ!」と言った。
「どうしたの?」
「
「これはね。月と
「えー。ナニソレ?」
「月額で駐車契約してるってこと」
私も子供の時、これを読めなかった。そういえば、なぜ「
「
私と同じ疑問を日菜が口にする。
「なんで、極なの?」
「ごめん。お母さんも解らん」
「えー」
「後でさ。スマートフォンで調べるね」
「えー。早く知りたい!」
日菜は駄々を捏ねる。私は「わかったよー」と言いながら、片手でカバンを開けた。
見知らぬおじいさんが私たちの前にくる。
おじいさんが口を開き、「月極」の説明を始め出した。
「極なのは戦前までは「契約する」「約束する」「きめる」とい意味で使われていたからだよ」
「え?そうなんですか」
いきなり知らないおじいさんの説明で少し警戒する。けれど、そのおじいさんはどこかで見た気がした。
「
「すごい、おじいさんありがとう」
日菜が目を輝かせて言った。
「いえいえ」
「ありがとうございます!」
私もおじいさんに感謝を述べた。おじいさんの顔を再び見ると、その正体を思い出す。
それは最近、よくテレビに出てくる日本語学者の
私は驚いた。
「あの。湯川玲二教授ですか?」
「ああ。そうだよ」
「あ。ありがとうございました!何かさっき、変な風に思ってしまって」
「いや。いいって。僕もいきなり話しかけてたしね。ごめんね。じゃ、行くね」
「バイバイ、おじいさん!」
「はーい。バイバイ!お嬢ちゃん」
湯川教授は日菜に明るく挨拶を返すと、軽い足取りでその場を去る。
テレビで見ていた通りの雰囲気で少し陽気に見えた。
私は少し得した気分になった。有名な教授に教わる機会なんて滅多にない。何か良いことが有りそうなきがした。
了 34:45
引用 domani
https://domani.shogakukan.co.jp/808737
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