【短編小説】恋人と「慣れ」

第1話

ねぇ、私たちさ、なれたね」


デートの帰り道、隣を歩いていた彼女がふと呟いた


「どうしたの、いきなり笑」


実際僕らはまだ付き合って1週間だ。

もう慣れたのか。それは良い意味なのかマンネリを感じているのか。

付き合いたての恋人に向けた「慣れ」が何なのか、僕にはイマイチ理解できなかった。


「まだ僕ら付き合って1週間だよ。早くない? 」


目が合わない。やはり、彼女の気持ちは既に冷め始めているのだろうか。


「マンネリ感じてるなら色々試すからさ」

苦笑いで続けた。


「違うよ、そうじゃなくて」


「私たち、恋人になれたね。って改めて思うと嬉しかったの」


一瞬だけこっちを見た彼女の顔は、とても赤くなっていた。


そこから家まで、彼女は早足で自分よりも少し前を歩いていた。

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