第2話 下川真人の場合
これは秘密だがな、俺は同じクラスの水瀬さんが好きだ。だから彼女のことはチェックは欠かせない。
得意な科目は国語、苦手な科目は英語、髪型はロングヘアをポニーテールにし、休みの日にはほどいてサラサラにおろしている。サラサラ好きだけど、校則でまとめないといけないから仕方ないのかな。
身長は教室の出入り口の位置から推定160センチ、すらっとしているから平均的な体重だろうけど、ストーカーでも体重を調べるのはストーカー道に反する。そんな道があるのか知らんが。
ただ、スリーサイズは妄想してもOKにしている。
好きなものはピザ、嫌いなものは揚げパン。ベタベタして口に砂糖が付くのが嫌だって独り言を言っていたのは聞き逃していない。
独り言を言うくらいだから、水瀬さんは帰宅部で友達も特にいない。
そして、いつも片瀬の跡をつけている。そう、アイツは片瀬のことが好きなのだ。俺は完全な片想いだ。でも、尾行してまで好きな相手を知りたいなんて一途で健気じゃないか。俺はそんな彼女が好きだ。幸いというか、彼女は片瀬に夢中だから俺がストーカーしているのは気づかれていない。
彼女が片瀬にストーカーしている間に彼女の家周辺はチェック済。そう、俺は彼女が片瀬にストーカーしている間は本人がいないから見つからない。逆転の発想と言うやつだ。
家族構成は祖父母と両親と一人っ子だから、家族から可愛がられている。
祖父母は農家をしていて、両親はその野菜を使って食堂を経営している。だから夕飯は祖父母と食べるか、食堂で直接食べているようだ。
マンガや雑誌は電子で買っているらしいから何が好きかわからない。俺はいつかハッキングするためにプログラムなどを学ぶために理系に進学してIT企業に就職するために猛勉強をしている。
『真人と名付けて良かった。こんなに猛勉強するなんて』と母さんは喜んでいるが、ごめん。本当は真逆なんだ。
水瀬、君は気づかないかもしれないけど、俺は君が大好きだよ。だから今日もストーカーしている君を見つめている。
あ、俺がストーカーしているのはもちろん秘密な。
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