　古から地上に棲まう神聖なる獣。

　その大きさは全長数千メートルを優に超え、一つの大陸を刹那で渡るだけでさえ、我々人類に未曾有の大災害を齎していた。

　遥かな昔、先祖たちは決して太陽の灯火の届かぬ深き地の底に、全人類が居住する都市で、さながら土竜の生活を強いられていた。

　愚かなる人の大半が、地上に膨大な資源が有るとも知らずに、日々病と飢饉に喘ぎながら、人類は着実に衰退の一途を辿っていた。

　だが、一人の青年の探究心が、禁忌とされる未知の世界への道を掘り進めていき、多くの死者を出しながらも、楽土に辿り着く。

　しかし、地上には数千を超える数多の龍が跳梁跋扈し、空気は禍々しい大気が大半を占め、楽土に足を踏み入れた人々を次々と異形の姿へと変貌させていってしまったと云う。

　それから数百年の年月を経て、我々人類は多大なる犠牲の下で、魔法という新たなる文明の開花を成し遂げて、全世界に繁栄と……絶望を振り撒いた。

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