手記1.魂喰らい

 あなたは、この世界に人に非ずものが、世界の闇に隠れてすんでいることを知ってるだろうか?


 妖精、悪魔、鬼などの異形の存在


 おとぎ話や小説の中にしか登場しない彼らは、この世界に間違いなく存在し、日本においては、とある組織が管理していた。


 その中に、「魂喰らい」と呼ばれる存在がいる。

 それは人を食し、その血肉から、其の者の記憶や経験を吸収し、己のものに変えていくと伝えられている。

 その血肉は、ある程度新鮮であるのならば、死人の肉でもかまわない。


 ゆえに私の所属する裏の組織は、彼を匿い、彼に餌を与え飼い始めた。

 組織が秘密裏に殺した人間の死体に刻まれた記憶と経験を入手するために。

  

 それは稀有であり、人にとって有益な異能(ちから)であった。

 だが、その力は彼の独自の異能であり、彼が死ねば途絶える力であった。


 組織は考え、決意した。。

 彼が壊れてしまった時に、取り換えができるものを作り出すことを。


 そのために組織は彼にある女性を送り込んだ。

 特殊な異能を持った女だった。


 コードネームはサキュバス


 女は一週間かけて彼の眠っている間に、貴重な彼の精子を得る事に成功したのだ。

 そして人工授精を行った。

 彼の異能を受け継ぐ、半人半鬼を産み出すために……

 

 そうやって産み出された実験体の一つが彼女だった。

 そして、戸籍上の父親が……

 

 ……私だった。

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