第3話 相談

 気が付いた時には眠っていて、アラームが鳴る1分前に目覚めた。これが鳴るとうるさいので事前にオフにした。


 時刻は12時30分くらい。お昼ご飯を食べるのを忘れていたので、慌てて食べた。炒飯だ。気管にご飯が入ってしまいむせた。ゴホンゴホンと咳が出て苦しい。台所に行き、グラスに水道の水を注ぎ一気に飲んだ。何とか治まった。死ぬかと思った。


 壁の時計を見ると12時45分。そろそろ行かないと約束の時間に間に合わない。急いで歯を磨き、部屋を出て車に飛び乗った。バックした時、急に飛び出したから向かってきた車にぶつかりそうになった。クラクションをププッと鳴らされてブレーキを踏んだ。運転手に怒鳴られた。

「あぶねーな、この野郎!!」と。

 その車は行ってしまい、謝ろうかと思ったが無理だった。まあ、いいか。


 気を付けないと。事故ったら余計に時間を食う。なので、慎重にバックした。


 平さんのアパートに着いたのは12時55分だ。何とか約束の時間までに着いた。僕の車をいつものように少し離れた広場に駐車した。


 部屋のドアの前でチャイムを鳴らした。ピンポーンピンポーンと2回鳴る。中から足音が聴こえてきた。

「はいよー!」

 という平さんの低い声。

「健です!」

 大きめな声で言った。ガチャリと開錠されドアが開いた。

「おお、来たか。まあ、入れよ」

「はい、お邪魔します」

 そう言って部屋に上がらせてもらった。

「ソファに座っていいぞ」

 平さんに促されるまま僕は動いた。

 真っ白なソファなので気を遣う。汚しちゃいけないと思って。

「何飲む? アイスコーヒーでいいか?」

 何も買ってきていないことに今頃気付いた。

「すみません、何も買ってこなくて」

 彼は苦笑いを浮かべて言った。

「気にすんな。コーヒーの1杯や2杯くらい大したことじゃない」

「ありがとうございます」

 彼は笑みを浮かべながら、

「律儀なのは変わってないな」

 と言い、僕も苦笑いを浮かべてこう言った。

「こういう性格なもので」

「まあ、そうだな」

 平さんは笑っている。

「ところで相談ってなんだ?」

 早速、本題に入った。

「そのことなんですが、僕、新しい彼女が出来たんですよ。でも既に別れた彼女からしつこくメールがきて困っているんです。どうしたらいいですかね?」

 彼は真剣な顔つきで僕の顔を凝視している。

「なるほどな。正直なところ健にとってはウザいんだろうから、そのメールを来なくさせられたらいいんだろ?」

「はい、そうです。僕、スマートフォンやパソコンなどはよくわからなくて」

「設定すればいいだけだ。ちょっとスマートフォン貸してみろ」

 そう言われて彼に渡した。


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