秘密

第1話

私には秘密の能力がある。けれど、これを知っているのは父と母だけだ。小さい頃に、この能力を街中で使ってしまったことがあった。小さかったし、それが何かわからなかったので、コントロールが出来なかったのだ。それを見て、少し離れたところにいた両親が慌てて走ってきた。2人とも周りをキョロキョロ見回して、誰もそれに気づいてないことを知って胸を撫で下ろした。父は私の頬を叩き(父は温厚な人で、叩かれたことなどそれまで無かった)今まで聞いたことのないドスのきいた声で「こんなことは二度としてはいけない」と怒鳴りつけ、母は泣きながら「神様、なぜ、この子にこんな呪われた運命を授けたのですか？」とブツブツ祈るように言っていた。

その様子を見て、ああ、この能力は人前で使ってはいけないものなんだなと幼い心にも身に染みるようにわかった。それからはそれをコントロールできるように猛特訓し、どうにか人前でうっかり使ってしまわないようにまで制御できるようになった。

で、その能力は何かって？そんなの言うわけないじゃん。秘密だって。