エンドワールド

星月シグレ

プロローグ

「はぁ、帰りたい。」


朝の教室。

窓の外を見ながらそんなことを呟く少年セント。

ボサボサの白髪に青い瞳の中性的な顔立ちの少年。


「では、今日は全校朝会なので体育館に向かいましょう。」


と全員に呼びかける、担任教師のハナコ。

茶髪のショートヘアに、大人とは思えないほどの小柄な体格の女性。

そのハナコの呼びかけに全員が教室を出ていく。


「めんどくさいなぁ…」


セントも重い腰を上げ、立ち上がる。

その時、セントの席の目の前に誰かが立ち止まる。

セントはそちらの方向を見る。


「セント一緒に行こう。」


そこにいたのは、腰まで伸びた茶髪ロングヘアに、赤い瞳の少女。セントの幼なじみの『リリア』。


「あれ、友達と行ってなかったのか。」


「そうしたら、セント遅れてくるでしょ。」


「今行こうとしてた所だけど。」


「どうせ、そこら辺で時間つぶして、終わる直前で来るでしょ。」


「バレてたか。」


「バレてたかじゃないよ。ほら、行くよ。」


「わかったよ。」


そうして、2人は教室を後にする。



「あ、間に合ったみたい。良かった。」


「僕は残念だよ。」


2人は自分のクラスの列の後ろに並ぶ。

周りは喋り声でがやがやとしている。


「あ、そろそろ始まるね。」


「んだね。」


周りのがやがやが収まる。

すると、副校長の始まりの挨拶などが始まる。


そして15分後


「続きまして、学校長挨拶。」


その副校長の言葉のあとに、学校長が登壇する。


「えー…それじゃあね、まずはおはようございます。」


挨拶をして、話を再開する。


「校長先生って話長いよね。」


と、リリアがセントにヒソヒソと話しかけてくる。


「そうだなぁ。」


適当に返事をする。

そして、たんたんと校長の話を聞く。

そうして時間が過ぎていく。


「それじゃあ、話を終わります。」


その言葉のあと、一例をして降壇する学校長。


「これで全校朝会は終わりです。皆さんは教室に戻って授業の準備をしてください。」


副校長のそんな言葉で、皆が出入口の方に向かって歩き出す。

その時


「わぁ!!なんですかコレ!?」


突然、驚きの声が聞こえてくる。

セントとリリアはそちらの方向を見る。

そこには、下を見て焦るハナコがいた。そして、その足元には赤い光を放つ模様があった。


「なんかのドッキリ?」


「いや、なんか様子がおかしい。」


周りの教師の驚いた表情に、ただ事では無いと察するセント。

その時


「なんだこれ!?」


「なになに!?」


拡散するように他の生徒や教師の足元にも同じものが浮かび上がる。


「何が…」


「セント!足元!」


それは、セントとリリアも例外ではなかった。


「セント…」


「大丈夫だ、落ち着け。」


何が起こってるのか分からず、不安そうにセントを見つめるリリア。

セントはただ、リリアの震える手を握る。

その時だった

足元の模様が一斉に光を増す。

セントはリリアの手を握る力を少し強める。

そうして視界は、光に包まれる。

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