第17話
「よしっ! ソンブ村まで行こうぜ!」
リルリスが欠伸をしながら、こっちへ歩いて来た。そして、
「スーッ……勇者さま。休まないのですか?」
「って、これくらいで疲れていないってー! っていうか、俺は勇者だし、まだ昼だー! 太陽あそこにあるぞ! あそこ!」
「まだ正午っといったところか。ランダルの言う通りだな。じゃ、腹も減っていない私は、ゾンブ村という場所まで部下を連れていくぞ」
スザンヌがスタスタと騎馬隊を連れていってしまった。
ライズ国王「……」
ライズ国王も無言になってしまったぞ。恐れ多くも、そう書き込みにある。
「ほら、リルリスも行こうよ!」
「ひつじが~、いっぴき~。ひつじが~~、にひき~」
リルリスが俯いて抗議しまくりながら、付いて来た。
いつの間にか、テントは片付けられ、リルリスが背に背負っている。
「うん? 今度は沼を渡らないといけないんだった……」
ゾンブ村へ行く途中に、大きな沼がある。
一周間前の魔王戦争では、何度も渡ったんだけど、その時にも……。
リルリスと一緒に沼地に到達すると、前を騎馬で走っているスザンヌの姿がひゅっと、忽然と消えた。
「うわー!」
「沼の中にー!」
「スザンヌさまが沼に落ちたぞー!」
前を走る騎馬隊が動揺している。
いや、違う! きっと、スザンヌは、沼地に引きずり込まれたんだ!
そう!
この沼には、大きなゾンビ魚がいるんだった!
その時、ゾンビ魚がその巨大な体躯が沼底から飛び出す。
ライズ国王「おお、早速であるな。勇者よ、再びの配信の場だ。存分に活躍し、国民を更に安心させるのだ! 余の添い寝係であるリルリスは、憩いの時間の達人だ。よって、リルリスを向かわせるのだ! 沼地で汚れたスザンヌは憩いを必要としているはずだ。と、リルリスにしかと伝えるのだ」
頭に巻きついた。配信用WEBカメラのライズ国王の書き込みを読みながら、俺は突っ走っていた。
なんでか、嫌な予感がしてならない。
スザンヌ!
無事でいてくれよ!
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