第10話

「よし! じゃあ、もう準備万端だと思うから、早速だが。スザンヌは騎馬隊を呼んできてくれ。これから、ライズ王国の西門から帝都の近くのソンブ村というところへ向かおう。俺が以前に魔王討伐の旅立った際にも、そこでお世話になった村だ。なかなか酒場の飯が美味いんだぞ」

「切り替え、早ーーー!!!」

「うん? 一応、リスナーの仲間もいるじゃないか?」

「いや、なんでもない。そういえば、お前はランダルだったなあ……。ああ。では……」


 呆れているスザンヌが馬上からすっと、口笛を吹こうとした。だが……。そこで、不思議とスザンヌがまだ口笛を吹いて呼んでもいないといのに、噴水前に突然、騎馬隊が集まりだした。


 俺はローリが呼んだのかと思って、そっちの方を向くと、ローリは西門の方へスタスタと歩いていってしまっている。ローリは決して、騎馬隊をタイミング良く呼んだわけじゃないんだろうな……。


 そうか!! ……多分、騎馬隊が密かに画策したんだ。女騎士団長のスザンヌのどこかには、予めセンサーが付いているんだ!!


「お前ら……私を監視しているのだな! そうだな! そうだろ! そうのはずだ! そうなんだ!」


 スザンヌが弓矢を静かに構えだした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る