龍神のつがい~京都嵐山 現世の恋奇譚~

河野美姫

プロローグ

「おいで、凜花りんか



声が聞こえる。

私を呼ぶ、優しい声。



「俺と永遠の契りを交わそう」



愛おしそうに、どこか乞うように、私を呼んでいる。



「今度こそお前を守り抜くよ」



知らないのに、なんだか懐かしい声音。



「だから早く俺のもとにおいで、凜花」



――あなたは誰……?



「この世でふたりといない、唯一無二のお前のつがいだ――」




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