第35話 新しい極悪ダンジョン


「せやぁ、てやぁ!」

 ミチルさんもすっかり堂に入った戦い方をするようになってきたな。序盤は1人で大丈夫だろう、いざとなったらタダスケがいるし。

 新田神社は龍を祀っていると聞くが、最後に龍は出てこないよな?


 ラスト59階層のボスはカッパだったので心置きなく倒してダンジョンコアへと進む。

 手を当ててスキルを貰うと収納してギルドから退散する。

『実績達成、ダンジョン生成に機能追加』

「ダンジョン生成に機能追加ってなにがしたいんだ?」

「で?何ができるようになったの?」

 ユカリが聞いてくる。

「ダンジョンのランクによる自動生成、モンスターの生成」

「すごっ!そんなんできるんすか」

「俺の力じゃ無いからな」

「でもその力を持ってる」

 十六夜が的確に確信をついてくる。

「まあね、これで魔王にでもなれってか?」

「しっかりしてよ!そんなんじゃダメだ」

 カグヤが俺の方を見て言う。

「こんな力は使わなければいいだけだろ?」

「そうだな、でもレベル上げには使うぞ?」

「まぁそれはアリだな」

 カグヤがニコリと笑う。


 ようやく部屋に着くとカグヤとキスをする。長旅だったのもあるが自分が自分でなくなる気がしてそれを確かめたくて、カグヤがいるということが嬉しくて、その日はグチャグチャの頭の中カグヤを抱いた。

 

 朝起きるとカグヤが膝枕をして頭を撫でていた。

「お、俺は」

「大丈夫…私がついている」

 そのまま少ししたら2人で寝直した。


 次の日はパーティーハウスに行き、二回目の極悪ダンジョン生成を行うことにした。

 また、この目的以外のダンジョンを生成しないことを心に決めた。


 あーでも無いこーでも無いとダンジョン生成は捗らない、ならいっそランクSSで自動生成してみるかとのことになった。

 

“ブォン”と言う音と共に門が現れる。前にダンジョンボードを置いたらランクSSと書いてある。


「おっしゃー!やってやりますか!」

 シンジが叫ぶ!

「うるせーよ、何なら1人で攻略して来い」

 タダスケが嗜める。

「さて、新しい弓の性能をたしかめなくちゃね」

 ユカリが弓を構えて見せると、

「あーしの槍も新品に変えたしね」

 タマキが槍を手に取る。

「…私が一番」

 十六夜は静かに闘志を燃やす。

「足を引っ張らないように頑張ります!」

 真希はいつもと変わらないな。

「それじゃあ行くぞ!」

 カグヤの一声で扉を開く。


 さぁ、第二章ってとこかな!


「うらぁ!」

 シンジが先陣を切る。

 敵はサハギン、魚人だな。

 三又の槍を持って攻撃してくるが当たる奴はいない。

「しっ!」

 タマキの槍も調子いいようだな!

 大量の矢が降り注ぐと一気にサハギン達が消えて行く。

 ユカリの弓は山颪という弓らしい。


 ボス戦ではカグヤとタダスケが剣で滅多刺しにしていた。

 1階層はそんな感じですぐに攻略して行く。


 俺ってば出番がないな。


 様子見で5階層まで行ってみて部屋に戻る。


「あー、なんか不完全燃焼!」

「私は満足です!」

「あーしの敵を取るからいけないんだよ!」

「早い者勝ちでーす」

「まあまぁ、今日は様子見ですしね」

「真希はもうちょっと動いた方がいい」

「あ、あははは」

 みんな思い思いに感想を語る。


「おい、みんな見てみろよ」

 タダスケがテレビにみんなを呼ぶとそこには河合クランが出ていた。

 軍隊のようにピシッとしていてみていてすごいなぁと感心するが、

『我がクランは安全なダンジョン攻略を推進してきました』

「うそ、死人が出ても平気だったくせに」

 十六夜がそう言う。

『この度国と提携して冒険者育成プログラムに着手することになりました』

“ワァァァァァァ”と歓声が響くが、声を差し込んでいるんだろうな。


『よってダンジョンは河合クランの元で管理されることになります』

「え?」

「うそだろ?」

『そこのダンジョンに潜りたい冒険者の皆さんは河合クランに入って、一緒にダンジョンを攻略しましょう』

“ワァァァァァァ”

 こいつはやり過ぎだろ?

「国を何とか丸め込んだみたいね」

「金だろ?でもどこかがダンジョンを管理するのは賛成だな」

 タダスケが言うが、

「河合クラン以外だったらな」

 と付け加える。


 ギルドもそうなると河合クランになるだろうし、それじゃあ河合が儲けるだけになってしまうだろ?


 でも逆に言えばスタンピートが起きた際には河合クランがどうにかするってはなしになるからいいのか。

 国も河合クランに全てを任せるわけじゃないだろうしな。


「ダンジョンはここにもあるけどね」

 シンジが笑いながら言っている。

「これは個人ダンジョンでしょ?」

 真希がシンジに言うとシンジはニヤニヤしながら、

「悔しがるだろうな、河合のやつ」

「あははは、そりゃそうでしょ!こんな都合のいいダンジョンはないんだから」

 ユカリが嬉々としていっている。

「でも他の冒険者が可哀想だな」

「だな、なんか手を打てればいいけどな」

 

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