第28話 肉


 さて、極悪ダンジョンでのレベル上げをしてかないとな!

 外のダンジョンはクランが乱立しているようで、ランクの低いダンジョンは取り合いになってるらしいし、うちは極悪ダンジョンにダンジョンボードが百個、ダンジョンコアが一つあるからな。

 まぁ金に困ってるわけじゃないからクランは作らない。


 65階層に入ると今度はゴブリンの集団だった。楽勝かと思いきや集団になると戦士や弓師、魔術師などいて厄介極まりない。

 ユカリが遠距離を潰し俺たちは突っ込む。

 倒してもドロップは汚い布や刃こぼれした件などなのでいらない。

 

 ボス部屋に辿り着くとようやくゴブリンキングに初めてあったが、デカくはないが煌びやかな装飾を身に纏っている。

 ここは瞬殺だった。

 ゴテゴテとした宝石はイミテーションで価値がない。

 宝箱には本物の宝石と金貨がはいっていたのでいいだろう。

「あーし、これ欲しい」

「えー、これが一番無難ですよ」

「私はこれだな」

 と女はいつまでも宝石には目がないのかな?

 タダスケも嫁に贈る宝石を選んでいた。


 66階層はオークの集団だ。これまた厄介でブヒブヒうるさいなぁ。

 67、68、69階層とゴブリンやオークの混成だったり複数の種族の混成が多かった。


 70階層にあがり部屋に戻る。

 今日は宅飲みだ。

 テレビをつけると海外もそれなりにダンジョン攻略をしているらしく、クランランキングなるものまで出来ていた。

 いち早く起業したのに河合クランは32位となっていて笑った。


 一位のフェニックスクランはアメリカの大規模なクランらしくランクAのダンジョンもいくつか攻略しているそうだ。

 

「うちはクランにしないんですか?」

「なにかメリットがあればいいけど、今のところ金にしかなってないようだし」

「まぁ、無名のクランみたいなものじゃないっすか?」

「まぁ、クランよりは小さい規模だけどな」


 でもダンジョンヒントアプリからは今度は5個なんだよな、ダンジョン探すので疲れて来ちゃうよ。


 とりあえず極悪ダンジョンを攻略すればどんなに強いダンジョンでも行けると思うから、極悪ダンジョンを攻略してからだな。


 秋だということで和菓子を買って来てくれたタダスケに御礼を言いながら和菓子をつまみながらお茶を啜る。


 ニュースでは、クラン同士の抗争の激化や、スタンピートを懸念する声もあるらしいことを伝えており、ダンジョンのランクがわかるのも問題だなぁと感じる。


 極悪ダンジョンを作ったのに自分達が配置したものを忘れてしまっているので次は何かなぁと思いながら入って行く。

 70階層はフィールド型にしてあるので楽かと思いきやキラーラビットが配置されていて鑑定すると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 キラーラビット

 レベル 150

 スキル 跳躍 突進 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 いやいや、レベル150のキラーラビットとかマジで弾丸だからな!

「あっ!俺っす!ここらで兎肉取れたらいいだろうなぁくらいに考えてたんすけど」

「お前なぁ!弾丸キラーラビットはちょっと怖いぞ」

「すんません」


 まぁ、魔法でどうにか対処しているが、気を抜いたら飛んでくる。ユカリが弓で先に当たりをつけてくれるのでそれに沿って魔法を撃っている。

 

 でも、レベル150の兎肉は歯応えもあり美味かった。


 ボス部屋にはよく肥えたキラーラビットの親玉がいたが瞬殺して兎肉になってもらうと、宝箱からは瞬足のスキル玉というのが手に入った。

「へぇ、こんなのもあるんだな」

 ・スキル玉を手に入れる 1/1

『実績達成、スキル屋がインストールされます』

 おお!久しぶりのヒントアプリのインストールだな。


 確認してみるとスキルが結構並んでいて悩んでしまうな。金貨も結構使うのだがな。


 帰ってからにしようと70階層を後にする。次の階層も肉目当てで猛牛がいた。

「シンジー!」

「本当すんませんっす」

 まぁ牛肉が食えるからいいけどレベルの上がったモンスターを倒すのは至難の業だな。


 多分この調子だとまだまだ肉ゾーンがあるようだな。


 結局は80階層まで肉ゾーンだったからそれをつまみに宅飲みをし始める。

「美味っ!」

「美味しいー!」

 さすがにレベルの高いだけあってただ焼くだけで美味い。

 

 でももうあの肉ゾーンは行かないだろうな。

 

 一方、河合クランは日本一位のクランとしてパーティーを開催していた。

「日本一位ったって海外から見たら32位よ?」

「それは言うなよ」

 花京院兄妹は第一部隊として名を馳せている。

 十六夜はあの時のタクマ達とのやり取りですっかりあのパーティーに入りたくなっていて河合クランをやめてしまっていた。

「十六夜もバカだよな、あんなパーティーに熱をあげるなんてな」

「河合社長も激怒してたしね」

「まぁ、こっちは真希がいるから大丈夫だ」

 


 設楽真希シタラマキは会場の外で考えていた。

 あの時のタクマ達は無償で駆けつけて、スタンピートを止めたのだと知った。

 私にも力があれば…

 十六夜のように思い切って辞めてしまうことだってできるのに。

 河合クランは金払いはいいが、部隊編成はあまり効率がいいと言えない。

 真希の入っている第一部隊も花京院兄妹でなりたっているようなものだ。私は階層転移だけのお荷物になっている。


 一応置いてかれてもレベルを上げるために必死に食らいついているが、それもどこまで持つか。


 近いうちにSランクダンジョンに入るとの噂も聞いた。自分についていけるのか不安になっていた。

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